3. 応用別の市場
臨床現場では,希少疾患,あるいは,重篤でない疾患の診断方法として,洗練された先進イメージング技術が必要とされている。そうしたニーズが,OCTの応用分野の拡大,さらなる研究への原動力となっているのである。利用開始から20年あまり,活発な研究活動,先端的デバイスの商用化もあって,OCTの応用先は年々広がってきた。
当初,OCTは主に眼科で利用されていた。その後,TD-OCT(時間領域OCT)からFD-OCT(フーリエ領域OCT),SS-OCT(周波数走査)といった新しいタイプのOCTへの進化もあり,OCTはさらに多くの領域で利用され始めている。心臓インターベンション治療,がん診断・治療などでは,血管内イメージングの技術として重要な役割を担っている。
OCTの応用先はいまだに医療分野中心で,研究開発のほとんどは臨床アプリケーションに関するものである。他方,OCT技術は空間分解能,画像分解能において優れており,その特徴を活かして,食品分析,品質保証,防衛,通信,航空,重合材,芸術,環境科学といった多彩な分野で導入が進みつつある。食品検査では,果物やその他食品の構造特性を明らかにするために利用されている。
主流となる医療分野における技術の進展も目覚ましく,特定疾患診断用のOCT製品の認可,商用化の例が増加している。
例えば,高解像度OCTシステムを利用すれば,網膜疾患の経過を簡単に観察することができる。また,頸部動脈内疾患の顕微鏡検査において,高解像度かつ3Dの画像解析,ステント留置器具と併用することで,より正確な検査が可能となる。
OCT技術には将来的に巨大なポテンシャルがあるという事実は,政府関係者,企業,研究機関などで広く知られている。様々な応用分野におけるOCTの適性を証明するため,企業,研究機関などでかなりのリソースがOCTの研究開発に費やされている。
OCTの各分野における応用は表1の通りである。