6月28日,東京・六本木の日本学術会議講堂で「国際光デーシンポジウム2019」が開催された。
日本学術会議総合工学委員会ICO分科会は2015年に国際光年行事を行なっており,その後2018年7月にはユネスコにより制定された国際光デーを記念するシンポジウムを開催,今年もこれらに引き続く国際光年関連行事の開催となった。
最初に,東京大学名誉教授・特任教授の荒川泰彦氏が開会挨拶として,我が国における国際光デーの意義を話した。基調講演として東京大学総長の五神真氏がAIやビッグデータを活用する社会で日本には時間がないとし,大学を活用するべきとの意見を述べた。
東京工業大学名誉教授・元学長の伊賀健一氏は,1977年に自身が発明したVCSEL(面発光レーザー)が今や様々なところに使われ,これからも発展が見込まれるとした。スタンフォード大学名誉教授等を務める山本喜久氏は,量子ユニタリ計算孤立系量子コンピュータと量子散逸計算開放系量子ニューラルネットワークについて解説した。
理化学研究所放射光科学研究センターセンター長の石川哲也氏は世界をリードする分野の開拓をしてきたSPring-8(大型放射光施設)とSACLA(X線自由電子レーザー)を紹介した。
東京大学教授の合田圭介氏は,光科学と人工知能を合わせた「細胞検索エンジン」について話した。これは大量の細胞の中から特定の細胞を見つけ出すことは困難な事であったが,フローサイトメトリーの方法を用いて精度よくスループットを引き上げることに成功したということだ。
最後に,法政大学教授の松尾由賀利氏が閉会挨拶として学問分野が細分化しても光は要素技術として繋げてくれるものとして期待できるとした。講演終了後,67のポスター発表と29の賛助団体による展示が行なわれ,盛況のうちに閉会となった。