豊橋技科大,逆光でも顔認識可能な手法を開発

豊橋技術科学大学の研究グループは,さまざまな照明条件下で顔の発見と認識が可能になる新たな手法を開発した(ニュースリリース)。

画像による顔の発見と認識は,顔認証によるセキュリティシステムや人をサポートするロボットなどの応用に幅広く利用されている。これまでの多くの手法は通常の照明下でのみ有効だったが,実際の応用を考えると厳しい照明の下でも動作することが重要となる。

そのための一つのアプローチとして,さまざまな照明下での顔の画像を,顔特有の模様や特徴を維持しつつ一定の見え方になるように変換する方法がある。例えば,逆光下では顔全体が暗くなる。画像変換により頬を明るくする必要があるが,瞳は暗いままにしておかなければならない。

そこで,研究グループは,拡張された光の反射モデルを用いて照明の影響を適応的に調整する新たな手法を開発した。このモデルは調整可能な一つの変数(illumination ratio と呼ぶ)を持ち,その変数をファジィ推論システムによって制御する。

そして,さまざまな照明条件に対応するため,推論システムが利用するファジィ推論規則を遺伝的アルゴリズム(GA)によって最適化しておく。

この画像変換処理を現存の顔認識システムに追加するだけで,顔の発見と認識の性能を大幅に向上させることができる。さらに,この変換は実時間で行なえるので,ロボットや人とやり取りをするシステムのような実時間動作が必要な応用に適しているという。

顔は人の識別に役立つだけでなく,注意を向けている方向や疲れの程度など人のさまざまな情報を提供する。そのような情報を得ることは,人間と機械の間の快適なやり取りに有効となる。

研究グループでは今回開発した顔画像変換手法が,特に厳しい照明条件下で有効に利用されることを期待している。

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