東芝エレベータは,高精度のレーザースキャナーをエレベーターリニューアル工事の現場に活用し,工事に必要な昇降路と機械室の現場サーベイの精度と効率を向上させた(ニュースリリース)。
これにより,現場サーベイとその後のデータ化の処理に必要な作業時間を大幅に短縮し,サーベイ結果のBIM(3次元CADを使い,データ上で建築物等を作りながら設計していく手法)への展開も実現した。近年増加するリニューアル工事の精度と効率の向上を図るため,2016年4月から運用を開始する。
従来,リニューアル工事の計画や工事費用の算出は,専門の作業員が現場でメジャーやレーザー測定器を使い必要な箇所を個別にサーベイしていた。エレベーターが長時間停止するほか,サーベイ結果のデータ化,図面化についても多くの時間を費やしており効率改善が課題だった。
開発したシステムではエレベーターのかごに3次元レーザースキャナーを設置することで,全方位の撮影とデータ収集を実現した(特許出願中)。これにより高層向けエレベーターでは2~3日(のべ16時間ほど)必要としていたサーベイ計測作業やその後のデータ化を約5時間に短縮できた(作業時間を70%短縮)。
さらに,エレベーター機械室の主要機器の撤去・搬入シミュレーションを点群データ化によって実現し,最適な搬出入ルートの確認が容易に実施でき,エレベーターの停止時間が削減できるほか,データ化によって工事計画全体の提案最適化,迅速な対応が可能となる。
さらに,計測したデータは必要寸法を抽出しBIMソフトで3Dモデリングへの展開ができる。従来は,エレベーターの昇降路・機械室を平面図,立面図,断面図といった2次元の図面を組み合わせることで工事プランを作成し提案していたが,BIMを活用することにより,パソコン上で実際の昇降路や機械室,建物の状況を3次元のビジュアルイメージで確認・提案が可能となり,より正確で質の高い情報の提供が実現した。
同社は今後数年でリニューアル市場の売上が新設市場の売上を上回ると予測しており,効率的な現場サーベイによる客先への迅速な営業対応,現場対応を実現し,更なる受注拡大を目指す。
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