NTT,ウェアラブルレーザ血流センサを開発

NTTは,レーザを使ったウェアラブル血流センサを開発している。これは近赤外レーザを皮膚に照射することでごく浅い(>1mm)末梢血管の血流を測定するもの。この装置により血流量,心拍,そして「バソモーション」と呼ばれる長周期的な血流ゆらぎを測定することができる。バソモーションは,リラックスや緊張といった心身状態を反映すると言われている。

使用するのは近赤外線レーザで,フォトダイオードと組み合わせたセンサを指先などに装着して使用する。データは電源と送信デバイスとしてBluetooth Low Energyを備えた本体からスマートフォンに送られる。

赤外線レーザは血管内の赤血球によって散乱することで波長がわずかにシフト(ドップラーシフト)するので,これを検出する。この方法自体は以前からあるものだが,これまでは本体からレーザを光ファイバで引いてくる構造で,振動などに弱かったほか,装置自体も大型(重量:5kg)でウェアラブルとして用いるのは不可能だった。同社はこれまで培ったレーザを利用する技術を用い,レーザをフォトダイオードを小さなパッケージにまとめることに成功した。

開発した装置はセンサ部分と本体を合わせても重さが15gと非常に軽く,また低消費電力なので0.1秒間隔で測定をしても2日ほど連続測定が可能となっている。収集したデータはスマートフォンを介してクラウド上に送り,連携したサービスを受けるといった使い方も想定される。同社は医療をはじめ,美容やスポーツなどの応用を見込んで実用化を目指している。

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