東北大学,有限長カーボンナノチューブ分子の新しい幾何学的指標を提案

東北大学原子分子材料科学高等研究機構・大学院理学研究科・教授の磯部寛之氏らの研究グループは,有限長カーボンナノチューブ(CNT)分子の新しい幾何学的指標を提案した。この新しい幾何学的指標は,分子性物質としての有限長カーボンナノチューブ分子に関する科学・技術の発展の基礎となることが期待されている。

今回,研究グループが提唱した新しい幾何学的指標は,tf で表される「有限長指数(Length index)」,Fbで表される「結合充填指数(Bond filling index)」とFaで表される「原子充填指数(Atom filling index)」の3種。このうち,有限長指数は,CNT分子の長さの幾何学的指標で,六角形ユニット(亀の甲)何個分の長さを持っているかを表している。残る二つの「充填指数」は,有限長CNT分子の構造内に,どれだけの化学結合,原子が満たされているのかを示したもの。これらの3つの尺度により有限の長さをもつCNT 分子の長さと構造を簡便に比較することが可能になるという。

また,研究グループは,共同研究者に数学者を迎えることで,tf, Fb, Faが簡単な数式により表せることも示した。

CNT
カーボンナノチューブの長さを測る「ものさし」の提案
CNT2
カーボンナノチューブの幾何学的構造指標。青と緑がこれまでに活用されてきた指標(青がカイラルベクトル、(n,m)がカイラル指標。緑は並進ベクトル)。新しい「有限長指標tf」は赤で表されている。
CNT構造指標
これまでに磯部グループで合成された有限長カーボンナノチューブ分子とその幾何学的指標

詳細はこちら