理研、免疫履歴がその場で分かるマイクロアレイ診断システムを開発

理化学研究所は、ヒトの血液中にある多種類の感染症ウイルスに対する抗体の種類や量(抗体価)を、同時にかつ迅速に全自動で測定できる「ウイルス・マイクロアレイ診断システム」を開発した。医療の現場で簡単に抗体価を調べることが可能で個人個人の獲得した免疫履歴が分かるため、従来数日かかっていたい検査センターでの検査が不要になり、ワクチン接種の必要性などをその場で容易に判断できる。

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今回開発された診断システムでは、医療現場で採取した少量の血液(分離血清)を使い、複数の免疫項目を同時にかつ15分程度という短時間で測定可能になる。実際に測定したところ、検査センターなどで行なわれている酵素免疫測定法(EIA法)と、ほぼ同精度の結果を得ることができた。また、同測定法に比べて試薬や装置の生産コストを5分の1程度に抑えることができる。

老人福祉施設や介護施設、教育現場などでの集団感染を防御する観点からも、抗体価の確認とワクチン接種が重視されている。今回、開発したシステムは、こうしたニーズに低コストで正確に素早く対応できる手法といえる。また、妊娠前の女性に対する手軽で優しい検査や、インフルエンザなどの予防接種ワクチンによる免疫獲得の確認、海外渡航の際のワクチン予防接種の必要性の判断などにも役立つと期待できる。

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