オプトロニクスフェア2013「赤外線フェア」,「光技術で安心・安全フェア」,「光反応機能材料フェア」,「マイクロオプティクス・フェア」がこの11月26日から3日間,東京都立産業貿易センター浜松町館において開催された。
展示会場で多くを占めたのが,やはり赤外線関連製品。赤外線センサ・カメラは応用範囲が拡大しており,関連するオプティクスや材料,測定機器も含め,多くの来場者の関心を集めた。一方,安心・安全を支える製品では,今後社会インフラのモニタリング市場で導入が期待されている光ファイバセンシングや,セキュリティ分野に向けた応用製品に注目が集まった。光反応機能材料やマイクロオプティクスでも興味深い製品があり,出展社による来場者のニーズ把握や,開発品のマーケティングリサーチが展開された。
来年は場所を科学技術館(東京・竹橋)に移しての開催が決定している(会期は2014年11月19日から21日)。出展社と来場者とをつなぐビジネスマッチングの場として,有効活用が期待される同展示会だが,今回展示会場で注目した,いくつかの製品を紹介する。
夏目光学グループのタックコートはAR,DLC,撥油コートを施したSi,Geレンズを出展。ブースにはさらに住田光学ガラスが開発した,紫外から6μmの中赤外までの透過率を持つ赤外線透過ガラス「K-FIR98UV」も参考出展した(写真1)。金型によるモールド成形が可能な低分散のガラスを特長としている。
エーエルティーは,DOE(回折光学素子)を用いたレーザメッセージプロジェクタを出展。セキュリティ分野におけるアプリケーションを想定して開発したもので,レーザを照射し,警告表示や誘導表示などを任意の場所に投影する。開発品の一つは双眼鏡に小型レーザ照射ユニットを搭載したもので,最大500m先までの照射を可能にし,メッセージサイズは横1.7m×縦0.5m。もう一つは天井や壁などに取り付け可能なドーム型レーザ照射ユニットで,水平180°,垂直60°のスキャン照射を可能にする。
ゴーフォトンは,円柱状の屈折率分布型レンズ「セルフォックマイクロレンズ」を出展。レンズの端面がフラットなため,光ファイバをじかに接着できるのが大きな特長。同社によれば,光通信用途やOCT・内視鏡など医療用途に適用されているという。
シグマテックは,この8月に発表した,1nmの分解能を有する真空対応フィードバックステージシステムを出展。光学式リニアスケールを内蔵したフィードバックステージと,独自の制御回路を搭載したフィードバックコントローラを組み合わせ,真空内での振るクローズドループフィードバック機能を実現した。真空度は10-4Pa(10-6Torr)まで対応。ストロークはテーブルサイズによって異なるが,20~50mm。繰り返し位置決め精度は±2nmで,最大移動速度は2mm/secとなっている。また,漏洩磁束を抑制するため,ステージのステッピングモータに,パーマロイによる2重シールドを施こす提案も行なっている。これにより,漏洩磁場が100nT(参考値)以下になるとし,電子線描画装置や電子顕微鏡などへの組込みに対応するとしている。
オーシャンフォトニクスは,スペインのラディアンティス社製全自動波長可変フェムト秒OPO「ORIA IR」と,イギリスのM スクエアレーザー社製超小型励起レーザ内蔵フェムト秒Ti:Sレーザ「Sprite-XT」を出展。ORIA IRは光学系を交換することなく1000~1580nmの赤外領域における波長をカバーし,繰り返し周波数80MHzのフェムト秒Ti:Sレーザに対応する。この繰り返し周波数を持つのがSprite-XTだが,独自のミラーマウント設計を取り入れた励起DPSSレーザを内蔵し,470×180mmという超小型化を実現したフェムト秒Ti:Sレーザとなっている。
オーテックスは,自社開発の光硬化型エポキシ系接着剤「PARQIT」を出展。光のみで接着できる機能を持たせた可視光硬化型とUV硬化型を提供する。硬化波長は可視光硬化型が~565nmで,放熱材料やポリイミド接着に応用可能。一方のUV硬化型は365nmで,防汚コート剤やエポキシ樹脂材に有効という。いずれもアフターベーキングを不要としている。