竹中工務店は,独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受け三菱化学が開発中の“有機系太陽電池一体型ルーバー”を用い,同社技術研究所にて10月より2年間の予定で実用化に向けた実証実験を行なう。
建築の外部ルーバーは窓面への日射をコントロールし,冷房負荷の原因となる過剰な直達光を抑えつつ,適度な明るさを室内に取り入れる機能を担う。 また,特に高層ビルにおいて,建物の表面積の大半を占める鉛直面での太陽光発電が望まれている。 “有機系太陽電池一体型ルーバー”はこれらの両立が可能なものとして期待される。
実証実験では,建築の外装材としての実用化のため,次のような検証を行なう。
- 有機系太陽電池のルーバーへの接着方法,接着剤の選定
- 風荷重等を勘案した構造計算
- デザイン性を高める意匠設計
- 「省エネ」「創エネ」のためのサイズ,配置,角度制御の最適化
有機系太陽電池の外装材への適用を目指した実証実験は日本初となる。本年度は熱・光と発電量を最適化するための実験を室内に設置した試験体を使って実施し,来年度は外部環境に耐える構造・材料の仕様について検討し,その性能を屋外実験にて確認する予定。今後は三菱化学とともにデータ蓄積と改良を続け,将来的には,外壁面だけでなく屋根面等への設置,既存建物の改修,曲面など多様な意匠への対応など幅広い適用を視野に入れた開発を進める。
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