矢野経済研究所では,PETフィルムメーカ,プロテクトフィルムメーカ,リリースフィルムメーカ,透明導電性フィルムメーカ,ハードコートフィルムメーカ等を対象に,光学用PETフィルム市場の調査を実施した。
◆2013年の光学用PETフィルム市場規模(メーカ出荷数量ベース)は前年比115.4%の288,200tの見込み,日本メーカのシェアは37.0%,前年比104.5%に
2013年の光学用PETフィルム市場規模(メーカ出荷数量ベース)は前年比115.4%の288,200tを見込む。メーカ地域別のシェアは,日本メーカが37.0%,韓国メーカ54.1%,台湾メーカ8.8%となり,光学用PETフィルムの主力用途であるLCD(Liquid Crystal Display)バックライト部材の海外生産シフトとともに,原反についても韓国・台湾勢のシェアが拡大している。
2000年代前半にLCD関連市場が立ち上がった当初,光学用グレードはPETフィルムの中でも最先端に位置する製品であった。フィルムそのものの性能向上に加え,コンバータと共同での二次加工に関する研究開発などR&Dの課題も多かったため,最先端の高付加価値品を得意とする日本勢がシェアを確保していたが,LCD市場の拡大・コモディティ化とともに規模とコスト競争力で勝る韓国・台湾勢がシェアを拡大しており,日本勢は苦戦を強いられている。
◆光学用PETフィルム参入メーカー各社の設備増強は一段落、タッチパネル部材をターゲットとした中厚グレードの生産能力が拡大
光学用PETフィルム市場では2010年にLCD部材向けグレードが大幅な供給不足に陥り,参入メーカ各社で能力増強のための設備投資が活発化した。日本,韓国,台湾の主要メーカ10社合計のPETフィルム生産能力(光学用以外も含む)は2010年末時点で1,308,100tであったのが,2013年末には1,572,200tまで拡大するものと推計する。
2014年以降は各社の設備投資の動きも一段落し,今後は日本,韓国,台湾メーカの生産能力に大きな変化は見られないものと予測する。当初は光学部材向けを想定した100~250μm程度の厚肉グレード専用ラインへの投資がほとんどであったが,2011年から2012年にかけてLCD-TV(液晶テレビ)その他の最終製品及び部材の在庫問題が顕在化し,光学部材向けPETフィルムの供給過剰が問題視されるようになった。その結果,2012年以降に稼動を開始した各社の新設ラインでは,副資材やタッチパネル部材などで使用される中厚グレード(25~75μm 程度)向けの生産設備が目立つ。
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