自然科学研究機構生理学研究所教授の深田正紀氏ならびに准教授の深田優子氏の研究グループは、最先端の顕微鏡と新たに開発した蛍光プローブを用いて、生きた神経細胞のシナプスがダイナミックに変化する様子を直接‘視る’ことに成功した。
研究グループは、脂質修飾酵素DHHC2に注目。この脂質修飾酵素は、神経細胞の中でもシナプスが存在する樹状突起と呼ばれる突起に多く存在している。この酵素はシナプスの土台となるタンパク質(PSD-95と呼ばれるタンパク質)に脂質(パルミチン酸という脂肪酸の一つ)をくっつけ(脂質修飾)、シナプスの位置を決める。
研究グループは、この酵素によって脂質修飾されたPSD-95を生きた細胞で’視る’ことができるプローブを開発し、特殊な蛍光顕微鏡(STED超解像顕微鏡)で観察。1つ1つのシナプスは、脂質修飾されたPSD-95 からなる更に小さなナノサイズの構造単位(ナノドメイン)が集まってできていることを発見した。
また、シナプスの「数」や「サイズ」は、シナプスに存在するDHHC2の働きによって維持されていることを明らかにした。さらに、DHHC2は神経の活動に応じてダイナミックにシナプスの「サイズ」を変化させることも明らかにした。これによって、シナプスがさらに小さなナノサイズの構造単位(ナノドメイン)が集まってできていることを発見し、脂質修飾酵素DHHC2がその数とサイズを制御しているこが明らかになった。
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