光産業技術振興協会は,第31回(2015年度)櫻井健二郎氏記念賞受賞者を発表した(ニュースリリース)。受賞したのはリコーの「レーザプリンタ用面発光レーザアレイの開発および実用化」および住友電気工業の「海底ケーブル用極低損失光ファイバの開発と実用化」の2件。
リコーは,レーザプリンタ用書込み光源の開発に取り組み,高利得 の GaInPAs/AlGaInP 歪量子井戸構造活性層,AlAs 主体の高熱伝導率反射鏡,安定なモード・偏光特性のための高次モード抑制フィルター,均一な素子特性のための面発光レーザ素子レイアウトなど,独創的な技術の開発により,世界最高出力および高信頼の面発光レーザアレイの実現とその実用化に成功した。
この面発光レーザアレイは,プロダクションプ リンタに搭載され,高速かつ4800dpiという世界最高の解像度を達成することにより,新しい印刷市場を切り拓いた。
高出力・高信頼の面発光レーザアレイの開発・実用化と,それによる高速・高解像度プリンタの実現,新規市場の開拓・拡大が,光産業の発展に大きく貢献する優れた業績とされた。
住友電気工業は,世界に先駆けて純シリカコアファイバーを開発し,さらにそのレイリー散乱を低減することにより,伝送損失が最小0.149dB/km,平均0.154dB/kmと,研究,製品それぞれのレベルで世界記録を更新した。
この技術により製品化された極低損失光ファイバは,複数の国際大洋 横断光ファイバ通信プロジェクトに採用され,海底光通信システムの性能向上に大きく貢献した。
この長距離・大容量伝送に適した極低損失光ファイバの実現技術は,指数関数的に増大するインターネット通信需要を満たす上で不可欠なものとなっており,今後の光産業発展に大きく貢献する優れた業績であるとした。
なお,表彰式は,2月3日(水)に行われる平成27年度光産業技術シンポジウムの終了後に行なわれる。