富士フイルムら,640ppiのOLEDパネルを試作

富士フイルムと,ナノエレクトロニクス技術研究の先端的な研究機関であるベルギーのimecは,両社が開発した,サブミクロンオーダーのパターン形成が可能な有機半導体用フォトレジスト技術を用いて,フルカラーの有機発光ダイオード(OLED)を作製し,その動作実証に成功した(ニュースリリース)。この研究成果は,有機ELディスプレイの高精細化や大型化,さらには従来に比べコスト優位性のある製造方法の確立につながるもの。

有機ELディスプレイは,薄型化やフレキシブル化が可能で,応答速度やコントラスト比にも優れることなどから,テレビ,スマートフォンなどのモバイル端末,ウェアラブル端末などへの採用が進んでいる。現在,4Kテレビには200ppi前後,フルHDのモバイル端末には500ppi前後,ウェアラブル端末などの小型ディスプレイにはさらに高い画素密度の有機ELディスプレイが必要であるといわれており,現在,それに使用する有機EL材料の高精細なパターニング方法など有機半導体関連の研究開発が活発化している。

両社は平成25年に,大型基板上で高解像度パターニングができるフォトリソグラフィ方式で,有機半導体材料へダメージを与えずにサブミクロンオーダーのパターン形成が可能な有機半導体用フォトレジスト技術を開発。新技術は,既存のi線露光装置を使用でき,新たな設備投資が不要であるため,コスト効果に優れた高解像度の有機半導体デバイスの製造が期待できると,多くの注目を集めている。

今回両社は,有機半導体用フォトレジスト技術を用いて,フルカラーのOLEDを作製し,その動作を実証した。赤・緑・青の有機EL材料をそれぞれ20μmのサブピクセルピッチでパターニングし,フルカラーOLEDを作製。

さらに縦40個,横40個に配列して高解像度640ppiのOLEDアレイを作製し,それにUV光を照射した試験を行なったところ,赤・緑・青の各色が分離して発光することを確認した。また,光を照射せずに電圧をかけた試験でも,赤・緑・青の全色の発光を捉えることができ,正常に動作することを確認した。

両社は今後,複数回のパターニングを繰り返すことができるフォトリソグラフィー方式の特性を活かすことで,赤・緑・青に第4の色を加えたOLEDアレイに加え,OLEDと有機フォトディテクタを融合させた新たなセンサなどこれまでにないデバイスの開発に貢献していくとしている。

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