千葉大の超低密度のシリカエアロゲル,宇宙へ

千葉⼤学は,⽇本で初めてのアストロバイオロジー宇宙実験「たんぽぽ計画」専⽤に,0.01 g/cm3という世界第⼀級の低密度性を有するエアロゲルを開発した(ニュースリリース)。

シリカエアロゲルは,直径数⼗ナノメートルのシリカ粒⼦が3次元構造を形成し,その隙間(典型的には体積の99%以上)を空気が占め,製作の過程で密度を制御することができる。これにより,超⾼速度で地球を周回,あるいは地球に⾶来する宇宙塵をほぼ⾮破壊でエアロゲル内部に捕集することを可能にした。

これは,惑星間塵,地球由来の天然粒⼦やスペースデブリの地上での分析を成功させるための鍵となる技術。0.01g/cm3のエアロゲルは,宇宙塵をやさしく捕えられる⼀⽅,⾮常に壊れやすい。そこで「たんぽぽ計画」では,0.01 g/cm3のエアロゲルの4側⾯と底⾯を,より強度の⾼い0.03 g/cm3のエアロゲルで囲んで補強する⼯夫をし,ロケット打ち上げの振動に耐えられるようにした。

「たんぽぽ計画」の実験サンプルは,⽇本時間2015年4⽉14⽇,アメリカ合衆国ケープカナベラル空軍基地よりスペースX社のロケットにより打ち上げられた。

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