北海道大学大学院理学研究院化学部門准教授の坪井泰之氏らは,高分子を捕まえる光ピンセットの開発にはじめて成功した。
高い強度のレーザビームを集光すると焦点に細胞などの小さな微粒子を捕捉し,操ることができる。これは光ピンセットと呼ばれすでに市販化されており,生物学において広く利用されてきた。
また,この光ピンセットで細胞よりも小さな高分子(タンパク質や DNA,合成高分子など)を捕まえたり,操ったりすることができれば,創薬や生物学を大きく発展させることができる。しかし,細胞よりも小さなこれらの高分子を従来の光ピンセットで捕まえ,操ることはできなかった。
今回坪井氏らは,特殊なナノ構造を施した貴金属が生む“プラズモン”と呼ばれる電子の“さざなみ”を光励起することにより,細胞やウイルスよりもはるかに小さい分子(鎖状高分子や DNA)や高分子微粒子を自在に捕捉・操作することに成功した。
このようなプラズモン光ピンセットは,細胞への遺伝子導入や医療診断に役立つプロテインチップの開発を可能にするかもしれない。また,ナノ空間における単分子の自在操作やそれに基づく選択的合成や分離など,革新的な技術開発につながることが期待される。
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