1.はじめに
AI技術の進化・活用拡大などを受け,分散されたリソースを効率的に活用する分散コンピューティング技術への適用も含めて,高速・大容量で低遅延かつ低消費電力な情報伝送に対する需要がますます高まっている。その要求に応えるため,光情報伝送の一層の革新が期待されている。
システムの低消費電力化に向けて,これまで電気的処理に依存してきた機能を光回路にオフロードすることが検討されている。分散補償機能の光化はその一つである。長距離通信やデータセンター間の高速通信において,光ファイバ中で生じる分散の補償は不可欠となっており,デジタルシグナルプロセッサ(DSP)を使用した分散補償が広く活用されている。一方,DSPの大きな消費電力は,システムの低消費電力化に向けた一つの課題となっている。分散補償ファイバやファイバーブラッググレーティングを用いることで光電変換を伴わない分散補償が可能であるが,小型化,低コスト化,多機能集積性の観点から,集積フォトニクス,ナノフォトニクス技術を活用した分散補償素子の実現が期待されている。
本稿では,分散に関する基本事項,シリコン導波路を用いた分散補償素子に関する先行研究を簡単に紹介したのち,我々の取り組みについて述べる。
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