京大、特発性大腿骨頭壊死症の臨床試験を開始

京都大学医学部附属病院整形外科准教授の秋山治彦氏、同助教の黒田隆氏らは、難病である特発性大腿骨頭壊死症に対して、骨再生を促す作用のある塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)含有ゼラチンハイドロゲルを壊死した骨頭内に埋入する臨床試験において、1例目の手術を実施した。

130411kyodai1

手術は腰椎麻酔下で、大腿部外側1cmの皮切で経皮的にbFGF含有ゼラチンハイドロゲルを壊死した骨頭内に埋入するもので、30分の手術時間で無事に終了しました。患者は、手術当日から車椅子移動が可能であり、翌日より歩行を開始され、術後5日目に独歩にて退院、現在経過観察中。

これまで、壊死した骨を再生させる手術は血管柄付き骨移植術など侵襲が大きく、手術難度も高いものがほとんどで、入院期間も長期間必要だったが、今回の治療方法は低侵襲の再生医療である点が大きな特徴。手術は小さな傷で、短時間で行うことができ、入院期間も4~5日。

bFGF含有ゼラチンハイドロゲルが骨再生を促すことはヒトの骨折の骨癒合期間の短縮で証明されており、大腿骨頭壊死症においても動物(家兎)では副主任研究者らの研究によって骨頭壊死の圧潰を防止する効果が示され、ヒトへの応用が期待されていた。

今回の圧潰前の大腿骨頭壊死症に対するbFGF含有ゼラチンハイドロゲルの投与によって骨再生が起きれば、積極的な低侵襲手術法として多くの患者、多くの施設で実施されることが期待できる。将来的に人工股関節置換術を回避できる可能性があり、医療的、社会的な意義は非常に大きいものと考えられている。

詳しくはこちら