東芝メディカルシステムズは,従来は困難であった低流速の血流を非造影で描出できる新しいイメージング技術 Superb Micro-vascular Imaging (スーパー マイクロバスキュラー イメージング:SMI)を開発した。この新たなイメージング技術は,同社超音波診断システムのAplio™ シリーズに搭載可能な機能として発売を開始している。
被ばくのない超音波診断は診断からフォローアップまで幅広い臨床領域で用いられているが,従来のカラードプラ法による観察では,微細で低流速の血流の描出に技術的な限界があった。このため,超音波造影剤を使って検出能を高める手法も使われるが,適用部位の制限や患者の負担から使用に制約があった。
東芝は2001年から高分解能のドプラ技術・Advanced Dynamic Flow™(ADF)により,従来のカラードプラよりも微細な血流の描出を実現している。これまでのドプラ技術の進歩は,血流をより高分解能で描出することを主眼に開発されてきた。一方,低速の血流検出能を高フレームレートで実現したのがSMIは,より低い流速を捕らえることを目的に開発された。
これまで低い流速域で血流描出の妨げとなっていたのは,血流以外の対象物から来る不要のドプラ信号(モーションアーチファクト)だった。従来の技術ではこの両者を区別することができなかったが,SMIではモーションアーチファクト特有の特徴を解析し,臨床上必要な情報のみを取り出すことに成功している。
SMIは,造影剤の適用されない場合でも,低流速検出能に優れた血流イメージングを提供する。がんや腫瘍,関節リウマチなどの早期診断や治療方針の決定などをサポートすることができ,さらに造影剤を使うことでより感度のよい確かな診断に貢献することが可能となる。
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