非球面オプティクスでフレキシブルかつ頑強なビーム成形

測定技術や生物学の分野では,最適な照明を得るためにレーザビームプロファイルの均一性が常に求められる。材料加工においては,トップハット型ビームを使って材料に対する熱の印加や加工速度を最適化することができる。

ガウシアンビームのプロファイルは,そのフレキシブルな特長から,産業および研究分野で広く使用されているが,ビームプロファイルが不均一であったり,ビーム端で高エネルギーが欠如してしまうために,受け入れられないというアプリケーションもある。

材料加工では,材料への熱の印加や加工速度の最適化を行なうためにトップハット型プロファイルを使用することができる。過去には,屈折型ビーム成形のコンセプトが良好な結果をもたらすことが実証されている1)。その理由は主に,高い効率と波長変化に対し過敏でないこと,またそのシンプルな構成と製造性にある。

今回我々が開発したのは,非常にフレキシブルなシステムレイアウトが可能な,2つの非球面ビーム形成システムである。入力の強度分布はコリメートされたガウシアンビームプロファイルで,これがコリメートまたは集光されたトップハット強度分布へと変換される。この両システムはいずれも,既存の測定セットアップにスムーズに組み込むことができる。これらは,コリメートされたレーザ光,またはファイバカプリングされた光源を使用することができる。さらに,入力および出力ビームはスケーラブル(拡大縮小可能)で,1台のビーム成形システムだけで幅広いトップハットサイズをカバーすることができる。この両ビーム成形システムは,高い光学性能を達成することができる。

■TopShapeでの屈折型ビーム成形

非球面オプティクスによるビーム成形の基本概念は,2−30年前には既にFriedenとKreuzerによって示されていた2, 3)。この場合,コリメートされたガウシアンビームは,ある距離で均一化された強度分布をつくる非球面オプティクスの助けを使って再分配される。この位置では,再度トップハット型ビームをコリメートする2番目の非球面オプティクスが置かれ,その結果,可変距離でのトップハット型強度分布を生成する。そのために必要な光線の再分布と非球面形状の計算は,すでに文献で頻繁に考察されてきている1, 4)

図1 無限焦点ビーム成形システムのレイアウト(TopShape)
図1 無限焦点ビーム成形システムのレイアウト(TopShape)

無限焦点ビーム成形システムの基本レイアウト(Kreuzer特許に基づく)を図1に示す3)。入力ビーム径10 mm @1/e2の入射ガウシアンビームが再分配され,出力ビームは約15 mm(FWHM)径の均一な強度分布を持つ。

図2 設計および実際の表面でシミュレーションした強度分布(機械公差なし)
図2 設計および実際の表面でシミュレーションした強度分布(機械公差なし)

システム全長は約80 mmで,これは市販されているほとんどのシステムの半分の長さ程度となる。従来のシステムの寸法が大きい理由は,非球面間の距離をとることで,ビーム角度を可能な限り小さく保つことができるためである。従来のシステムでは非球面間の表面成形偏差をこの方法で補正する必要があった。

我々は非球面オプティクスの製造技術の進歩によって,非球面をより正確に作成することが可能になり,制限を取り除くことができるようになった。100 mmの動作距離における理論的強度分布の結果を図2に示す。