赤外光検出器および画像化システム市場
2020年には71億8400万ドルの規模に

5. 赤外光検出器,画像化システムの市場

図4 赤外光検出器と非冷却型熱検出器市場の変化
図4 赤外光検出器と非冷却型熱検出器市場の変化

赤外光検出器は高性能でその分単価が高く,一方でマイクロボロメータなどの熱検出器は付加価値が低い分出荷台数が多いという特徴がある。

赤外光検出器の市場シェアは,台数ベースでは大幅に減少すると見られる。しかし,金額ベースではその地位は揺らがない。

図5 バリューチェーンの各レベルにおける赤外光検出市場
図5 バリューチェーンの各レベルにおける赤外光検出市場

図5では市場をセンサーレベル,システムレベルなどに分類して分析している。

コアとなるFPAの市場規模は4億米ドル,これに対して冷却装置などを加えた赤外線センサー市場は7億1000万米ドルとなっている。

さらに,センサー,光学機器,電力供給,パッケージングを含めた赤外線カメラ市場は25億ドル,赤外線カメラ,その他カメラ,距離計などを含むシステム全体の市場規模は60億ドルとなっている。

図6 赤外光検出器市場の推移
図6 赤外光検出器市場の推移

2020年までの光検出赤外線システムの市場は図6の通り予測されている。

2014年における市場をアプリケーション別に見ると,地上系システムが最大で23億7500万米ドルの市場価値を持つ。主な用途としては,監視,武器照準と射撃統制,視覚性能拡張などが挙げられる。温度の関係から長波長が優位的である。

SWaPが重要視される兵士向けの携帯デバイスでは非冷却型のマイクロボロメータが利用されている。しかし,検出・認識可能距離の関係で,指揮官向けの監視システムでは,冷却型が主流である。

空中システムの市場規模が第二位で,市場価値としては19億9000万米ドルとなる。主なシステムとしては,監視,赤外線捜索追尾システム(IRST)などがある。空対空では中波長が,空対地では長波長が用いられている。

海上システムは,台数,金額両面で,軍事用途では最小の市場である。赤外線捜索追尾システム(IRST),監視,武器火器統制などが主な応用である。湿度が高い環境での運用から中波長帯の利用が主流となる。

2014年の時点で最も小さいのは民間向け市場であるが,軍事向け市場よりも潜在性が高く,特に短波長領域では今後の成長が期待されている。

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