ガラス加工に息づく“勘と感覚”を、次の世代へ

著者: 編集部

橘光学(東京都世田谷区)は、試作・開発段階から製品化までのプロセスを支援する“柔軟な光学部品パートナー”として位置づけられる。高品質な光学部品が評価されており、橘社長は今後も「確かな精度で応えるものづくり」を通じて光産業の発展に寄与していく考えだ。

橘光学 代表取締役 橘康雄氏

ニッチな技術で応え続ける、ものづくりの現場

─まずは、橘光学の沿革について

橘光学は1961年に祖父が創業した会社です。当初は主に球面レンズの加工を行なっており、大量生産のニーズが強くありました。そのため、パートナー企業と協力しながら生産体制を整え、現在の東京都世田谷区に社屋を構えるようになりました。

小ロット・多品種で応える

─現在、主に手掛けている事業は

プリズムをはじめ、球面レンズ、ロッドレンズ、シリンドリカルレンズ(一方向のみ集光する円筒形レンズ)など、比較的難易度の高い光学部品を中心に、小ロット・多品種の加工を手掛けています。お客様の要望に応じて一から設計・加工するカスタム品がほとんどで、少量でも高い品質が求められる案件が中心です。

─橘光学ならではの強みや独自性は

特にシリンドリカルレンズの加工を得意としています。この分野は市場規模自体、決して大きくありませんが、加工できる企業が非常に限られています。東京都内に限って言えば、同様の加工を継続的に手掛けている企業はほとんどないのではないかと思います。ニッチではありますが、確実に必要とされる技術であり、その領域を長年にわたって担ってきたことが、当社の大きな特徴であり強みだと感じています。

─事業継承にあたり、大切にされてきた考え方は何ですか

以前は、職人の手仕事による受注が多くありましたが、近年はその数も少しずつ減ってきています。環境の変化を受けて、当社では「高付加価値・高品質」をより強く意識するようになりました。

また、長くお付き合いいただいている顧客との信頼関係を何よりも大切にしています。加えて、できる限り迅速に対応すること、いわゆるスピード重視の姿勢を貫くことで、「まずは橘光学に相談しよう」と思っていただける存在でありたいと考えています。

受け継いだものづくりの哲学

─高度な技術と高い品質でスピーディーな対応を実現するため、どのような工夫や心掛けを

当社の仕事はすべて一品一様のカスタム製品ですので、自由度が高く、非常にやりがいがあります。その一方で、材料の調達や素材の特性、波長による屈折率の違いなど、細かな条件の違いに常に気を配る必要があります。

ほんのわずかな変化を見逃さないこと、そして過去の失敗から学んだ経験を次に生かすことが重要です。最終的には、長年積み重ねてきた勘や感覚がものを言う場面も多くあります。

また、加工精度は機械の状態にも大きく左右されます。摩耗の具合や回転スピードの変化などを日々チェックし、定期的なメンテナンスを怠らないことも、品質維持には欠かせません。

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