レーザーで実現する未来の可能性

著者: 梅村 舞香

(一社)レーザー学会は2023年に創立50年を迎え,2024年6月に就任した兒玉了祐レーザー学会会長のもと,次の50年に向けて歩を進み始めた。今回,兒玉氏に就任当時の思いを振り返っていただくとともに,学会の課題と将来について話を聞いた。

産学+学生の三位一体が重要

まずは2024年6月にレーザー学会会長に就任された当時を振り返っていただき,率直な思いをお聞かせいただけますか

個人的な思いが一つにはあって,私は若い頃からレーザー学会にはいろんな形でお世話になっておきながら,全く恩返しができていなかったというのがありました。研究にもかなり集中させていただきましたが,コミュニティがあっての研究活動なので,恩返しをするという意味では,でき得る限り貢献したいと思ったのでお受けすることにしました。 

レーザー学会に対する思いとしてですが,私が所属している大阪大学レーザー科学研究所(レーザー研)とレーザー学会というのは,レーザー研の創始者とレーザー学会の立ち上げ時にいらっしゃった方が,同じ方であるということで,レーザー研にとってもレーザー学会はなくてはならない学会なので,そういう意味からも,レーザー学会が今後もより発展していくためにはどうすべきかと考えること自体がレーザー研の発展にもつながるということで引き受けさせていただきました。

現在,レーザー学会の課題は何かというと,学生を含めて若い人たちがどんどん減っていってしまっていることです。この課題はレーザー学会に限ったことではありません。私はレーザー学会だけではなく,会員数など規模はほぼ同じくらいのプラズマ関連の学会理事も務めていますが,やはりどのようにして学生に売り込むかという課題に対して,コミュニティが違うので違う色で一生懸命に努力されています。

レーザー学会の場合は,少しユニークな学会で,産業界と連携しながらこれまでやってこられた経緯があります。これは特長の一つで,学生だけではないというところもあって,少し学生に対するセンシビリティが他の学会よりも少し少ない気がしています。良い時もありますし,もう少し推しが必要ではないかというところもありますけれども,そういう意味では,まさに産業界と学術界,それから学生も学術界の枠に入ると考えれば,この三つがもっと連携すれば,学生の会員も増えるのではないかと思っています。

例としまして,レーザー夏の学校を挙げます。レーザー夏の学校とはレーザー学会が主催する事業の一つで,大学生や大学院生,若手研究者の学術交流を主体とした研究会です。この研究会は,もともとはレーザー研の先生たちがポケットマネーで運営していたんです。しかし,段々と費用的に厳しくなっていった経緯があります。それでも参加されている人たちは,所属の異なる研究機関の学生や若手研究者と知り合いになれるという意味で後に続くような有意義で,良い機会の場になっていました。

これをしっかりと継続させたいということで,2008年に私が文部科学省の光拠点事業(最先端の光の創生を目指したネットワーク研究拠点)を進めていた頃,この事業には人材育成というミッションもありましたので,このレーザー夏の学校をレーザー学会主催にしてほしいというお願いをしました。

その時に費用面の議論もありましたが,私が提案したのは,「レーザー学会は産業界と一体的なのだから,これはまさに実践教育ということで学生も産業界にコンタクトして,スポンサーを獲得するという試みをしてみてはどうか」というものです。少々無茶ぶりのような提案でしたが(笑)。しかし,結果的には学生たちも乗ってくれまして,要するに社会に出る前にそういう経験ができるというのは効果が高かったんです。

今では産業界の方と一緒にレーザー夏の学校をやる仕組みができ上がっているので,ここまで来て本当によかったなと思っています。産業界,学術界,学生が三位一体となっている典型的な例が,レーザー夏の学校です。 学生は大学を卒業すると,ほとんどの方が企業に就職します。そういう意味ではレーザー学会は重要な役割を果たし得るので,その辺りをもう少し見える化できれば,もっと学生が増えるのではないかと考えています。

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