【解説】レーザーが切り拓く持続可能な宇宙開発

東北大学が燃料を必要としないレーザー推進ロケットの打ち上げ実証に成功した。この技術は,地上や宇宙基地からレーザーを照射し,そのエネルギーを推進力に変換する方式。従来の化学燃料式ロケットと比較し,燃料を搭載する必要がないため機体の軽量化が可能となり,より効率的な設計が実現する。さらに,燃料の調達・貯蔵が不要となることで,打ち上げコストを大幅に削減できる点も大きな利点だ。

環境面でも優位性を持つ。化学燃料を使用しないため,排出物による環境負荷が低減され,持続可能な宇宙輸送技術として期待される。特に,東北大学が開発した「レーザートラッキングシステム」により,機体の動きをリアルタイムで追尾し,レーザー照射位置を最適化することが可能となり,安定した飛行を実現する。

この技術は,小型衛星の打ち上げや宇宙輸送の効率化に大きく貢献する可能性を持つ。今回の成功は,レーザー推進ロケットの実用化に向けた重要な一歩であり,今後さらなる改良と実用化に向けた研究が期待されている。(月刊OPTRONICS編集長 三島滋弘)