豊富なシミュレーション技法の連携で複雑な光学・電気・熱解析をサポート

FDTD法
FDTD法は,任意の幾何学的複雑さを持つナノスケールの部品における光の伝搬をシミュレートするための,最も汎用的で正確な手法の1つだ。FDTDは並列化によって非常によく拡張され,1回のシミュレーションだけで広帯域の結果を効率的に得ることができる。

また平面形状の場合,2.5D variational FDTD(varFDTD)法は,3D FDTDに代わる優れた手法であり,2D FDTDと同等の計算時間で3D FDTDに匹敵する精度を達成することができる。varFDTD 法は、特に初期の最適化段階で有用であり、近似的な最適化状態に到達するための非常に効率的な方法を提供する[1]。


図1:様々な光デバイスの形状

 

FDTD法では,曲面を立方体メッシュで離散化することで生じる階段状の効果が大きな課題となっている。また時間領域法では,広帯域の波長領域で分散性のある材料を扱うことが困難な場合がある。しかしAnsys Lumerical FDTDの実装は,これらの課題を解決する。

例えば,多係数モデルを使用して,任意の分散を持つ広帯域材料をシミュレーションすることができる。また,コンフォーマルメッシュとグレーデッドメッシュを使用することで,精度を犠牲にすることなく,使用するグリッドセルの数を減らすことができる。

EME法
双方向EME法は,導波路やファイバデバイスの長距離伝搬をシミュレートするためのよく知られた手法である。特に,マルチモード干渉計やグレーティングのように断面が一様な導波路やファイバデバイスは,伝搬距離が長くてもFDTD法ほど計算コストはそれほどかからない,という利点がある。

EMEは,1回のシミュレーションですべてのモードと偏波を含むため,受動部品のS行列を完全に抽出するための非常に効率的な手法である。しかし,この周波数領域法のデメリットは,各周波数の結果を得るために1回のシミュレーションが必要なことだ。

基本的なEME法では,伝搬方向に沿った幾何学的な変化や材料の変化を解決するために,連続的に変化する構造を階段状に近似することが必要である。Ansys LumericalのEME法の実装では,基本的なEMEアルゴリズムに,CVCS(Continuous Varying Cross-Sectional sub-cell)法,効率的なマルチスレッド化,並列化などの拡張機能を加えることで,これらの課題のいくつかに対処することができる。

FDTD法とEME法の性能比較
FDTD法は計算量の多い方法である。大規模なPIC部品の場合,多数のグリッドセルが必要となり,シミュレーション時間とメモリの必要量が大きくなることがある。これらの課題は,高度に最適化された計算エンジンと効率的な並列化によって,ある程度解決することができる。

しかし,コンポーネントの形状が1つ以上の次元で波長の100倍を超えるような3Dシミュレーションでは,少なくとも解析の一部に別のアルゴリズムを検討することが望ましい場合がある。

EME法は,長距離の光の伝播をシミュレーションするのに適した手法だが,デバイスのサイズが横方向に大きくなった場合や,伝播軸に対して伝播角度が非常に大きくなった場合には,FDTDに比べて計算時間やメモリのスケールが小さくなる。

FDTD法とEME法の性能を比較する際には,シミュレーション時間とデバイスサイズの拡大縮小が重要な要素となる。さらに,周期構造の処理効率,使用可能な並列化の度合い,時間領域と周波数領域のシミュレーションのトレードオフ,FDTDグリッドの分散の影響などの他の要因も,ソルバーの性能に大きな影響を与える可能性がある。以下の例に示すように,これらのトレードオフは,特定のアプリケーションによって大きく異なる。


図2:伝搬シミュレーション

 

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Ansys Lumericalソルバーの概要
Ansys社は,あらゆる受動部品に適した汎用性の高い包括的な設計環境を提供しており,フォトニック・コンポーネントやシステムの設計者は,正確な設計のために効率的なワークフローを導入することができる。下の表は,Ansys Lumerical FDTDとAnsys Lumerical MODEで利用可能なソルバーの概要である。

固有モード解析
ソルバー Ansys Lumericalツール
FDE 有限要素法による固有モードソルバー MODE
プロパゲーション解析
ソルバー Ansys Lumericalツール
FDTD 2D/3D Finite Difference Time Domain FDTD
varFDTD 2.5 次元変分法FDTD MODE
EME 双方向の固有モード展開 MODE

表3:MODEとFDTDは,同じCAD環境,ジオメトリ,解析ツールを使用して,異なるソルバーを選択して実行できるため,ユーザーは設計プロセスを容易に効率化することができる

LightBridgeについて
LightBridgeは,フォトニクスデバイスおよびシステム設計のための解析ソフトウェアに加え,ソフトウェアを効果的に使用するためのプロフェッショナルサービス(テクニカルセミナー,エンドユーザートレーニング,テクニカルサポート,コンサルティング,ソフトウェアの統合や設計・解析のためのアプリケーション固有のモジュールの作成に関する開発サービスなど)を提供しています。

ただ今,LightBridgeは9月30日まで新規ご契約又は追加ライセンスご購入のお客様に感謝を込めてお得なキャンペーンを実施しています。キャンペーン,製品,エンジニアリング・サービス等についてのお問い合わせはこちらです

結論
集積された光学部品には様々な形状やサイズがあり,1つのシミュレーションアルゴリズムですべての種類の部品を最適にモデリングすることはできない。しかし同じコンポーネントでも,初期シミュレーションモデル,初期最適化,最終最適化の各段階で,複数のツールを組み合わせて使用することで,設計プロセスが効率化され,ワークフローがより効果的になることがよくある。

[1] Y. Ma, et al., “Ultralow loss single layer submicron silicon waveguide crossing for SOI optical interconnect”, Optics Express, Vol. 21, No. 24, 2013