紫外線照射殺菌/ウイルス不活化の最適なプロセスをシミュレーションで予測可能に

《《《《  照明解析技術によるウイルス対策・殺菌装置開発支援  》》》》

● 紫外線を利用した殺菌/ウイルス不活化が重要視される背景

理容室で使われている紫外線殺菌装置

新型コロナウイルス感染症予防のため,非接触型のウイルス不活化技術が国内外で注目されている。特に,波長100-280nm(ナノメートル)の紫外線「UV-C」を使った殺菌は,消毒液散布と異なり人的作業に頼らず有害物質も残さないというメリットがあり,すでに幅広く使われている。

人体への影響を最小限に抑えた波長222nmの紫外線で新型コロナウイルスの不活化効果が得られたという報告も広く報道されており,今後は関連機器の供給が更に増えることが予測される。




● 紫外線照射のシミュレーション技術について

サイバネットシステム株式会社(以下サイバネット)で取り扱っている照明解析ソフトウェア「LightTools」は照明機器やディスプレーの照射分布評価から設計まで多くの場面で活用されている。従来は可視光を扱うデバイスに対して適用されることが多かった「LightTools」だが,本稿で紹介する紫外線や,その他にも赤外線を用いたLiDARなど,利用用途が広がってきている。

紫外線による殺菌効果は対象物表面の照度[W/m2=J/s・m2]に照射時間[s]を乗じることで得られる単位面積当たりのエネルギー[J/m2]で評価される。したがって,これまで一般的に行なわれてきた照度の解析と同様の手法で評価可能だ。

「LightTools」を利用したシミュレーションにより,物質表面や空間における紫外線照射量の予測が可能となり,紫外線殺菌/ウイルス不活化機器・装置の開発にかかる時間やコストの削減が見込まれる。

ここでは商業施設や個人の住宅での利用が広まることを想定した「紫外線を利用した物質表面の殺菌効率のシミュレーション技術」と,殺菌に必要な時間を短縮する「紫外線殺菌照明の効率を向上させる自由曲面デバイスの設計技術」について紹介する。

● 事例1:紫外線を利用した物質表面および空間殺菌効率のシミュレーション技術
~詳細な照度分布解析で,最適な光源出力や配置検討が可能に。殺菌/ウイルス不活化の効率を高い精度で評価できる~

浴室に設置した紫外線殺菌光源の照度分布予測。白色からピンク色の領域は40秒以内の照射で10mJ/cm2となり,大腸菌やインフルエンザウイルスを99.9%除去できる。

紫外線による殺菌技術はすでに様々な製品として実用化されているが,影になる部分があると殺菌漏れが生じたり,光の当たりやすさによって必要な照射時間が異なったりなどの課題がある。「LightTools」を利用したシミュレーション技術により,充分な照射量があるか,また殺菌漏れ箇所が無いかなどを,設計の初期段階から予測することが可能だ。

近年のシミュレーション技術の向上により,複雑な曲面上の照度分布も一目で確認が可能になった。さらに床や壁,棚など複数の箇所の照度分布を一度の解析で取得可能。そのため,現実に即したシチュエーションでの殺菌能力を素早く評価でき,殺菌装置の製品化にかかるコストおよび開発期間の短縮を支援する。

「物質表面および空間殺菌効率のシミュレーション技術」および本事例の詳細に関する資料は<事例詳細・資料ダウンロード>から参照頂きたい。

【想定利用場所】医療施設,タクシー車両,列車車両,銭湯,ロッカー,一般個人住宅内(浴室,クローゼットなど)

● 事例2:紫外線殺菌照明の効率を向上させる自由曲面デバイスの設計技術
~必要な位置のみを効率的に殺菌する自由曲面デバイスを自動で設計。設計者のトライアンドエラーを大幅に減らす~

光学面設計機能を利用したレンズ設計例

近年のLED技術の進歩と2015年の「水銀汚染防止法」公布の流れから,従来水銀ランプ製品が使われていた殺菌処理に紫外線LEDを活用する動きが広まっている。今後は紫外線LEDへの置換が進むことが予測されるが,水銀ランプ製品と同等の出力を得るためには,現状では多数の光源を使用しシステムを大型化する必要がある。

光源を高出力化させるだけでなく,紫外線の吸収が少ない材料を使用したレンズやリフレクタといった光学デバイスを併用することで,照射効率を向上し使用光源数を削減することが可能となる。LEDは発光部が小さい点が特長であり,光学デバイスを併用した際に意図しない光路が生じにくく,相性がよい光源だ。

点とターゲットを結ぶ自由曲面形状の作成原理

「LightTools」に搭載されている光学面設計機能は,紫外線LEDからの光を照射対象面に効率的に差し向ける光学デバイス設計を支援する。近年の機能強化により,設計者が指定した照射分布を精度高く再現する自由曲面形状の自動作成が可能となった。

この自動作成においては,光源である「点」と設計者が指定するターゲット位置とをつなぐ自由曲面形状を解析的に求める手法が用いられている。面に段差が生じないよう考慮もされているため,製造可能でデザイン性も損なわない自由曲面形状が設計可能だ。

自由曲面レンズを利用した便座の殺菌効率向上事例。赤色から黄色の領域は15分以内の照射で10mJ/cm2となり,大腸菌やインフルエンザウイルスを99.9%除去できる。

性能,製造性,デザイン性に優れた自由曲面デバイスが設計者のトライアンドエラーを必要とせず設計可能であるため,エレベーターのボタン,トイレの便座など,多人数の接触が想定される箇所のみを効率的に殺菌する殺菌装置の開発円滑化,品質向上を実現する。

「自由曲面デバイスを活用した,紫外線殺菌照明の効率向上」および本事例に関する資料は<事例詳細・資料ダウンロード>から参照頂きたい。

【想定利用場所】エレベーター,エスカレーター,一般個人住宅内(生活家電,トイレなど)






● 光学エンジニアリングサービスについて
サイバネットでは光学に携わる方々の業務をサポートするため,光学エンジニアリングサービスと称して,様々なサービスをご提供している。以下はその一例。
・委託設計/解析(ツールの導入検討のためにもご利用いただけます)
・プログラム作成
・光学理論に関する教育
今回紹介した紫外線殺菌に限らず,光学に関する相談・お問い合わせは<光学エンジニアリングサービスの問合せ>まで。

● 本事例で紹介の製品について
「LightTools」とは照明設計解析ソフトウェア。照明機器の開発・設計・解析など,あらゆる場面で使われており,試作や実験回数の削減,製品品質の向上,開発期間の短縮など,トータルな開発コストの削減という効果が期待できる。<製品情報>

● ご提供価格について
目的や環境によって提供価格が異なるため,詳細や製品・事例に関する質問は<製品に関するお問い合わせ>まで。

その他関連ニュース

  • NEC,非接触のアプリケーション操作を実現 2021年06月09日
  • 阪大,微細加工で超小型波長変換デバイスを実現 2021年06月07日
  • Zemax,「OpticStudio」など最新版をリリース 2021年06月02日
  • 東大,光触媒で空気中コロナの不活化を実証 2021年05月21日
  • 富山大,プラズモンによる殺菌方法を提案・検証 2021年05月20日
  • ITA,サーモグラフィスクリーニングガイドを作成 2021年05月07日
  • 電気硝子,UV‐C LED用高効率キャップリッドを開発 2021年04月27日
  • QSTら,極短パルス照射のモット絶縁体の変化発見 2021年04月26日