新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は,太陽光発電の輸送分野における普及に向けた国際的な調査活動「IEA PVPS Task17『PV and Transport』」を開始した(ニュースリリース)。
NEDOは,「太陽光発電システム搭載自動車検討委員会」(国内委員会)を2016年4月に設置し,太陽光発電システム搭載自動車の価値についての調査,検討に取り組んでいる。また,欧米や中国などの海外でもCO2削減に向けた取り組みの1つとして自動車の電動化が加速していることから,各国専門家との議論を行なってきた。
こうした議論を踏まえ,NEDOは太陽光発電システム搭載自動車を含む太陽光発電の輸送分野での活用の価値を各国と検討,共有することを目的とし,2017年12月1日に,国際エネルギー機関(IEA)の技術協力プログラムの1つである「国際エネルギー機関・太陽光発電システム研究協力プログラム(IEA PVPS)」の執行委員会へ,NEDOから新たな研究テーマ「PV and Transport」とその運営責任者(稲田大学の廣田寿男客員教授)を提案し,全会一致のもと,正式に承認を受けた。
「IEA PVPS」は「太陽光発電システムが持続可能なエネルギーシステムとして国際協力を推進すること」を使命とする活動で,「PV and Transport」は廣田客員教授を中心に調査を進め,2020年度末までの活動期間中に成果レポートを作成,公表する予定という。
今般,その活動の着実な一歩として,2018年10月12日にスイスのベルン大学でキックオフミーティングを開催し,本格的に活動を開始した。同キックオフミーティングには,既に正式参加を決めている日本,ドイツ,オーストラリアのほか,オランダ,フランス,スイス,モロッコを加えた計7カ国が参加し,活動計画書の具体化や各国の役割分担について議論した。
今後,NEDOは輸送分野での太陽光発電の利用拡大を目指して,太陽光発電システム搭載自動車のCO2排出量削減効果やユーザーが得られる利便性,その実現のために太陽光発電に要求される仕様などについて,国際的に調査を行なっていく。
自動車などへの太陽光発電システムの搭載については,電動化への貢献の期待とともに世界各国でも熱心にその取り組みが進められているため,「PV and Transport」への参加国は今後も増え,さらに有意義な議論と連携を図ることが期待されるとしている。