九州ナノテック光学は応答時間が短く,加工性に優れた調光フィルムを,10月12日~15日,東京ビッグサイトで行なわれた宇宙・航空関連展示会「国際航空宇宙展2016」(JA2016)に出展した。
同社はこのフィルムの製品化を断念したメーカーのエンジニアが立ち上げたベンチャーで,製品の将来性を見込んだ凸版印刷が製品の大判化と大量生産による低価格化を請け負ったほか,大企業ならではの販路を利用して販売先を開拓している。
このフィルムは電圧をかけると液晶の配向が揃い透明の状態(ON)になり,電圧を落とすと白色の曇りガラス状(OFF)になる。また,電圧を落とした時に透明(OFF)になるリバースタイプも開発しており,こちらは自動車など電源が無い状態で安全の確保が求められる応用に提案を行なっている(リバースタイプは特性などのデータを収集中だが出荷は可能)。
透明時の全光線透過率は80%弱で,曇りガラス状でのヘイズ率は90%。ON/OFFの応答時間は50ms。厚さ0.12mmと薄いフィルム状なので自由な形に切ったり折り曲げたりできるほか,曲面やガラスに張り付けることもできるので意匠性が高い。幅1,200のロール出荷が可能となっている。
このフィルムは窓や会議室のパーテーションなど主に建築物での採用が進んでいるが,今回の展示会では飛行機の調光窓としての応用を提案。従来の調光ガラスと違い反応が早く,タッチパネルと組み合わせることで部分的に目隠しすることができるなどの長所をアピールした。
また,プロジェクターのスクリーンとしても利用可能。400~800nmの可視光を透過する分子サイズなので4Kでもきれいに解像するので,サイネージとしても利用できるのではないかとしている。
その他にも,A4サイズでの駆動電圧が40Vと,他社の同様の製品が100Vであるのと比べて低いことも特長。自動車メーカーからも注目さており,サンルーフでの使用の他,様々な提案がされているという。