北大,「カメレオン蛍光体」で変換効率をアップ

北海道大学は2013年5月発表した,温度変化によって発光色が変わる「カメレオン発光体」の技術をシリコン太陽電池に応用し,光エネルギー変換効率2%の向上に初めて成功した(ニュースリリース)。

太陽電池は安全な次世代エネルギー源として,現在注目されている。しかし,シリコン太陽電池に関する研究は長い歴史の中で最終形態に近づいており,その変換効率を劇的に向上させることは難かしい。

今回,従来のシリコン太陽電池に特殊な保護フィルムを一枚装着するだけで,その変換効率を2%向上させることに成功した。その特殊な保護フィルムは,紫外光を効率よく赤色光へと変換する「カメレオン発光体」の誘導体をEVAフィルムに入れたもの。

このフィルムを従来のシリコン太陽電池へ装着すると,カメレオン発光体が紫外光を吸収して赤色領域に発光する。シリコン太陽電池の光吸収領域が増えるので,シリコン太陽電池の変換効率が2%も向上し,さらに耐久性も向上(10年使用可能)することがわかった。

この太陽電池フィルムを装着すると,函館市の3年分の電気エネルギーを節約(省エネ)できることがわかったという。この新技術を使うことにより,大きな省エネを導くことができる。この新アイディアの波長変換フィルムは世界中で使用可能であり,未来のエネルギー問題に大きく貢献することが期待されるとしている。

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