プリント基板ビア用レーザ加工機市場,スマホとタブレットPCが牽引し堅調に推移

ただ,市場占有率が高いのは日立ビアメカニクスと三菱電機で,国内メーカが強みを発揮している。このうち,日立ビアメカニクスはCPUなどのパッケージ基板向けに,三菱電機はHDIなどといったメイン基板向けにそれぞれ納入実績が高いのが特長だ。

ユーザが求めるビア用レーザ加工機の性能は生産性(加工スピード)と加工精度で,この二つはもはや不変のものとなっている。そのため,加工機の心臓部であるレーザ発振器は高出力化へと向かっており,Cuダイレクト加工を実現するため,高ピーク出力を維持・制御できるかが重要なファクタとなっている。

また,ガルバノスキャナやfθレンズの性能も生産性や加工特性を左右する重要な光学ユニットとなっている。このうちのガルバノスキャナに関して言えば,より応答速度を高める技術開発が行なわれている。例えば,三菱電機では発振器を含め,光学ユニットを全て内製化しており,差別化の源泉としている。

参入メーカの開発動向

表2 主要参入メーカのビア用レーザ加工機仕様一覧
表2 主要参入メーカのビア用レーザ加工機仕様一覧

ビア用レーザ加工機に搭載されている発振器は自社開発の三菱電機を除くと,多くが米国COHERENT社製を採用している。また,生産性を高める一つの対応として2ヘッド以上の加工軸としているのが主流となっている。ガルバノ応答周波数やスキャンエリアも従来に比べて格段に性能が上がっている(表2)。ここでは,この6月に開催されたプリント配線技術専門展「JPCAショー」に出展した国内メーカの加工機に注目してみたい。

住友重機械工業は,「SLR-700T-GⅢ/同GⅢs」を製品化しているが,ガルバノ応答周波数をこれまでの3,000Hzから3,300Hzに引き上げるとともに,発振器の平均出力を240Wから450Wに高めた。同社の加工機の大きな特長は,レーザ出力のバラツキを抑えるパルス監視機能(GDP)を装備し,外乱などに起因するウィークパルスの加工面への到達を抑えていることだ。

写真1 日立ビアメカニクスのビア用レーザ加工機
写真1 日立ビアメカニクスのビア用レーザ加工機

日立ビアメカニクスは昨夏発表した「LC-2LA252E」をラインナップ。発振器の定格出力は340Wだが,ガルバノ応答周波数を3,500Hzとした。パルス幅は1〜20μsecとなっている。同社によれば,パッケージ基板への孔加工では要求径に対応するビーム制御が重要となるとし,そのため,高度な光学技術が盛り込まれていると言われている(写真1)。

写真2 三菱電機のUVレーザ加工機
写真2 三菱電機のUVレーザ加工機

三菱電機はこの4月にガルバノ位置決め速度を約20%に引き上げた「ML605GTW4-5350U/ML706GTW4-5350U」の投入を開始した。発振器の出力は従来の200Wから360Wに高め,マザーボード基板における加工時間も約20%短縮し,生産性の向上を図った。さらに同社は波長355nm・出力10Wの2ヘッドに対応するUVレーザ加工機も発表(写真2)。黒化処理が難しいとされるロール基板向けに販路を開拓したい考え。ガルバノ応答周波数は2,250Hzとしている。