光分析装置の開発トレンドを追う!

光学部品を分析する紫外・可視・近赤外分光光度計

紫外・可視・近赤外分光光度計は,大別するとシングルモノクロとダブルモノクロの方式があり,測定波長範囲によって様々なものが製品化されている。測定目的に応じては付属ユニットもラインナップされ,装置のカスタマイズも可能にする。

その用途は有機・無機材料などの液体試料や粉末試料の定性・定量分析,ガラスやフィルムなどといった固体試料の特性評価に利用されている。中でも固体試料に対する測定ニーズは増えているとされ,太陽電池セルのガラスやレンズ・ミラーなどの光学部品向けが堅調に推移しているようだ。

こうした用途ではダブルモノクロ方式が主流となっており,ハイエンドな紫外・可視・近赤外分光光度計が選択される傾向にある。国内市場ではアジレント・テクノロジー,島津製作所,日本分光,パーキンエルマー,日立ハイテクノロジーズが参入しており,このうち,島津製作所と日立ハイテクノロジーズのシェアが高いという。

写真1 アジレント・テクノロジーが製品化した紫外可視近赤外分光光度計
写真1 アジレント・テクノロジーが製品化した紫外可視近赤外分光光度計

参入メーカにみる主な製品動向に目を転じると,アジレント・テクノロジーは多角度可変自動測定分光光度計の新製品を開発した。薄膜や太陽電池,ガラス,光学系材料などの特定に適したもので,試料の位置を変えることなくステージが任意の角度で回転,さらに検出器も試料の周りを回るため,オペレータがいなくても自動測定が可能にするのを特長としている(写真1)。

写真2 日本分光の大型試料室を設けた紫外可視近赤外分光光度計
写真2 日本分光の大型試料室を設けた紫外可視近赤外分光光度計

日本分光は従来のハイスペック分光光度計に加え,新たに大型試料室(最大450×550mm)に対応する多目的分光測定システムをラインナップした。同社によれば,このシステムではユーザが測定ニーズに応じてカスタマイズを可能にするのが特長としている。3つの検出器を搭載し,シングルモノクロ方式を採用している(写真2)。これにより,大型分光光度計市場に参入することになる。

写真3 日立ハイテクは床置きタイプ紫外可視近赤外分光光度計の新製品を開発。付属ユニットや検出器も豊富にラインナップする。
写真3 日立ハイテクは床置きタイプ紫外可視近赤外分光光度計の新製品を開発。付属ユニットや検出器も豊富にラインナップする。

日立ハイテクノロジーズは,既存の装置と互換性を持たせた分光測定装置の新製品を開発した(写真3)。装置は設置面積を最小限にするため,床置きタイプとし,今回人間工学に基づくデザインを採用したという。分光器はダブルモノクロ方式を採用。また,測定のハイスループット化を実現したという。同社は光学部品向け市場では高い納入実績を持つ。

レンズ・ミラーといった光学部品は組み込み機器の性能を大きく左右するため,その特性評価の重要度は高い。こうした中にあって,ハイエンドな紫外・可視・近赤外分光光度計が果たす役割は大きく,試料室の大型化やユーザビリティを追及する今後の光学部品・材料向け分光測定装置の開発・市場動向が注目されている。