カシオ,撮影設定の異なる9枚を一度に撮れるデジカメを発売

カシオ計算機は,デジタルカメラ「エクシリム」の最上位機種として,シャッターボタンを一度押すだけで「フォーカス位置」と「絞り値」など,カメラの撮影パラメータ2種類を変化させながら9枚を連写する,「2軸ブラケティング機能」を搭載した「EX-10」を11月29日より発売する。オープン価格だが,実売は8万円程度となる見込み。

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カシオは得意の連写を活用した新機軸を打ち出した。今回発表した「EX-10」は,2種類のパラメータを変化させながら9枚の写真を一度のシャッター操作で撮影する。カメラ初心者には困難なパラメータの設定をしなくても,カメラ側で様々なパラメータの組み合わせた写真を提示してくれるので,その中から好みの1枚を選ぶことができる。

同社のデジタルカメラ事業について同社執行役員の中山仁氏は「コンパクトデジタルカメラの市場は厳しい状況にある。カシオのミラーレス一眼を期待する声もあるが,コンパクトデジタルカメラを極めるのがわが社の使命だと考えている」と,同社がコンパクトデジタルカメラのカテゴリを引き続き踏襲すると明言した。

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製品発表会には俳優の哀川翔さんのほか,何故か全国のゆるキャラも登場。

また,新製品はユーザを選ぶ高級コンパクトデジタルカメラとも違い「簡単でハイスピード,かつ高画質」という独自の製品コンセプトを示し,ユーザが簡単に好みの画質で写真を撮ることができるという意味で「高画質」ではなく「好画質」を目指すという。

今回の目玉である「2軸ブラケティング機能」とは,各種パラメータのうち「フォーカスと絞り」,「ホワイトバランスと明るさ」,「コントラストと彩度」の3種の組み合わせ*から1つを選ぶと,それぞれのパラメータについて,標準と,そこから±1ずつを加減した写真を,自動的に一度に撮影する機能。撮影した3×3の9枚から,好みの組み合わせの1枚を見つけることができる。

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カメラ自体も進化した。センサには裏面照射型の1/1.7型CMOSセンサを採用,これまでの1/2.3型より大きくなった。また,レンズもF2.0~2.5で,従来のF1.8~より明るくなったことで,暗所での撮影性能も向上している。またデュアルCPUによる画像エンジンもブラッシュアップしたという。その他のスペックについてはこちらをご覧いただきたい。

実際に操作してみると,9枚の連写は高速で,被写体が激しく動いていない限りは手ぶれや被写体ぶれによるアングルの変化などの心配は無さそうだ。背面の3.5型液晶はほぼ全面を占めるほど大きく視認性も高いが,タッチパネルではないことと,GUIの作りこみのせいか,直感的な操作とはいかず,慣れには時間がかかりそうなのが少々気になった。

とはいえ,これまでに無い「2軸ブラケティング機能」によって,本格的にカメラを触ったことのない人でも,様々な表現を簡単に手に入れられるというのは魅力的だ。この機種をきっかけとして,カメラの面白さに気付く人も出てくるに違いない 。

「EX-10」のサイトはこちら。

リリースはこちら。

* マニュアル操作では「彩度と明るさ」「コントラストと明るさ」の2種を追加した5種から選べる。また,これら以外のパラメータの組み合わせはプログラムされていない(選べない)。