4K/8Kなど次世代テレビ放送を目指す「次世代放送推進フォーラム」が発足

4Kや8Kといった次世代放送を実現するため,総務省の旗振りの下,NHKやテレビ民放各社,NTTら通信事業者,テレビや放送機器の大手メーカ,総合商社,広告代理店など21社が名を連ねた「一般社団法人 次世代放送推進フォーラム」(英文名:Next generation Television and Broadcasting Promotion Forum 略称:NexTV-F)が発足し,6月17日に発表会を行なった。

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次世代放送推進フォーラム役職者

 

名誉会長には,前トヨタ自動車社長で経団連・前情報通信委員長の渡辺捷昭氏が就任した。また理事長には東京大学大学院教授の須藤修氏,副理事長には日本民間放送連盟会長で東京放送ホールディングス社長,TBSテレビ会長の井上弘氏,NTT代表取締役副社長の片山泰祥氏,ソニー代表取締役社長兼CEOの平井一夫氏,NHK会長の松本正之氏が名を連ね,関係業界を横断した体制となっている。

フォーラム設立の目的は,次世代テレビ放送サービスを早期に実現するために,放送局や各メーカや通信事業者が一体となり,送信・受信に関する規定や使用の検討,実証,及び試行的な放送等を行ない,放送サービスの高度化を促進することとある。ここには,かつてのビデオやBlu-rayの時のような規格争いや,ガラパゴス化して国際競争に取り残された携帯電話のように,国内企業同士での消耗戦に陥ることなく,医療や工業分野といった需要も取り込み,4K/8Kを国際的に競争力のある分野に育てたいという総務省の思惑を,色濃く表すものとなった。

発表では,総務省の検討会で作製されたロードマップが,フォーラムの事業概要と共に示された。それによると,サッカーワールドカップのブラジル大会が開催される2014年には,関心を持つ視聴者が4K放送を見ることのできる環境(テスト放送)が整備され,さらに2016年のリオ五輪には,やはり関心を持つ視聴者が8K放送を見られるようにする予定で,2020年には4K/8K共に本格的な普及期に入るとしている。

フォーラムではこの実現のために,2013年中にテストベッドを構築する。これは総務省が「平成24年度 次世代衛星放送テストベッド事業に係る提案」として公募し,同フォーラムが委託先候補として決定しているもの。テストベッドの構築や検証を通じて,4K/8K放送に必要なリアルタイム圧縮符号化装置の仕様決定や,運用規定策定などへの貢献,関連技術の普及展開などが行なわれる予定だ。

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4K HEVCエンコーダ(右)

 

発表会場では,発売されている4KテレビやNHKの開発する8Kテレビの試作品や8Kカメラなどと共に,NTTが今年のNAB Show(世界最大のデジタルメディアおよびエンターテイメントイベント)で披露した4K リアルタイムHEVCエンコーダが展示された。これにNECの放送用装置化技術,富士通の低電力技術,三菱電機の符号化制御技術を合わせることで,試験放送が始まる2014年にはワンチップ化するのが目標だ。

4Kを巡っては韓国が昨年に地上波を用いたテスト放送を行ない,またフランスでも研究が進んでいるという。発表会では冒頭で挨拶をした総務副大臣の柴山昌彦氏をはじめとして,関係者が「オールジャパン体制」という言葉を何度も使った。テレビ産業に同じ轍を踏まさせない意気込みが伝わってくるが,一方で4Kから8Kまでの期間が2年であることから,世間には「テレビを買わせる為の施策ではないか」と見る向きもある。

これに対しフォーラムの理事で,運営委員長を務めるNHK放送技術研究所前所長の久保田啓一氏は「(総務省の)報告書に4K,8Kテレビの購入を無理強いするようなやり方はいけないとある。4K,8Kのコンテンツを現在の2Kでも見られるような機能を付けるなどして,無理な買い替えを強いないようにしていく」として,各放送形式が共存することで,一般にも理解を得られるとの考えを示した。また理事長の須藤氏は「8Kは遠隔医療やパブリックビューイングなどすそ野が広い。なんとか2016年の8Kの試験放送を実現したい」と,これまでのテレビでは無かった産業応用に期待を見せている。