1. はじめに

地震や台風などの自然災害の少なくない我が国において,深刻な被害を防ぐためには,インシデントの予見が肝要である。構造物のひずみをモニタリングする手法として,光ファイバー網を駆使する方式が開発されている。ひずみの検知方式はFBG,BOTDRなどが知られ,近年はBOCDAなどの更に画期的な方式も開発されており,橋梁などへの実証試験もされている1〜3)。このように,橋梁やトンネルなどの大資本をベースとするインフラについては,すでに現状での有効性が示されている。
その一方で,家屋,公民館,校舎,私有地の斜面などといった,民間レベルでの普及を実現するには,センサー技術の廉価化と一般人向けのインターフェースの開発が必要である。既出の技術例は一貫して波長解析をそのシステムの一部としていることから,前提として正確な光波の供給およびその解析にまつわる光学機器の廉価化が待たれる。また,これらの光ファイバーセンサーの取り扱いには,光学と電気工学のバックグラウンドを要求されるが,センシングの原理を知らなくても扱うことができるようなユーザーとのインターフェースが登場すると,前述のような民間のケースでもより導入しやすくなる可能性がある。このように,大型のインフラに適したモニタリング技術は豊富に存在するのに対し,廉価で扱いやすいものが少ないため,民間の防災を焦点とした技術の登場が待たれる。
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