アウレアワークス,高い光学設計力で国産レーザー市場を開拓へ

■ダイレクトダイオードレーザー用ホモジナイザー
ダイレクトダイオードレーザー用ホモジナイザー(上),ビーム形状・サイズは要求に応じて設計可能(下)
ダイレクトダイオードレーザー用ホモジナイザー(上),ビーム形状・サイズは要求に応じて設計可能(下)

高出力半導体レーザービームの強度分布を均一化する光学系で,経時変化する半導体レーザーの強度分布を安定させる役割を担う。同社では,加熱材料の特性とともに,求められる照射均一性,焼き深さ,コストに応じて最適な光学系を設計し,ファイバー型,導波路型,フライアイ型,DOE型といった種類を提案している。

加賀氏は,「材料はサイズ・厚み・熱伝導率・熱膨張係数等ケースバイケースで様々なものが対象となる。そのため,光学系も千差万別で変えていく必要がある」とし,ビーム形状は要求に応じ,正方形,円形,六角形,長方形などの設計に対応するとしている。また,半導体レーザーの一部が劣化してもフラットトップ均一性を保持するという。

■超偏極ガス励起用狭線幅レーザー
超偏極ガス励起用狭線幅レーザー(上)と,230 Wレーザー発振スペクトル(下)
超偏極ガス励起用狭線幅レーザー(上)と,230 Wレーザー発振スペクトル(下)

2011年から産業技術総合研究所(服部峰之主任研究員)と共同で開発を進めてきたもので,2015年に大阪大学大学院医学研究科に納入している。近年,MRIの高感度化に向けては,超偏極率状態の希ガスの利用が注目されており,このガスを効率的に生成できる高出力で狭線幅のレーザーが求められていた。同社が開発したこのレーザーは794.7 nmの中心波長で,230 Wを出力する。また,レーザーは600 Wまで高出力化できるとしている。

このレーザーを導入した大阪大学大学院医学研究科保健学専攻・准教授の木村敦臣氏と,名誉教授の藤原英明氏は,「大阪大学では低圧偏極と連続供給を基本とする独自方式の装置を開発しているが,この狭線幅レーザーを導入したことにより,偏極率を実質100%にまで上げた超偏極希ガスの大容量製造(2L/時)に成功した。この成果は世界最高水準を行くものだ」とコメントし,これを受けて,文科省科学研究費基盤研究を中心に医学研究を展開中だという。

加賀氏によれば,このレーザーの完成までには試作段階から大阪大学の偏極装置の照射実験等を行なって超偏極希ガスの大量生成に適した中心波長を見つけ出し,実験データをもとに製品化につなげていったとしている。◇

(月刊OPTRONICS 2017年5月号掲載)