名大ら,NINJA実験でニュートリノ反応を検出

名古屋大学,京都大学,横浜国立大,日本大学,東邦大学,東京大学,神戸大学をはじめとする研究グループは,素粒子ニュートリノの謎の解明を目指してニュートリノと物質の反応を高精度測定するNINJA実験の物理解析を開始し,ニュートリノ反応の検出に成功した(ニュースリリース)。

素粒子ニュートリノは宇宙から反物質が消えた謎や素粒子の標準理論を超える新物理を解明する鍵を握っているが,その解明の基礎となるニュートリノと物質(原子核)との反応はまだ不明な点が多いため,精密な測定が必要とされている。

NINJA実験は,茨城県東海村の大強度陽子加速器施設J-PARC のニュートリノ実験施設で行なわれている。2014年末から小型の実験装置を用いて原子核乾板とシンチレーター検出器の複合解析によるニュートリノ反応の精密測定の実証実験を行ない,2019年に世界で初めてニュートリノと水との反応から生成する低エネルギー陽子の測定に成功している。

このような水標的のニュートリノ反応の理解は,ニュートリノ振動実験においてスーパーカミオカンデ・ハイパーカミオカンデといった大型の水チェレンコフ検出器が使用されることから特に重要な反応となる。その後,ニュートリノ-原子核反応の精密解析に向け,2019年末から実験規模を約30倍に拡大した本番実験を実施した。

今回,他の素粒子測定器と比べて空間分解能が圧倒的に高く,マイクロメートルの精度で素粒子反応を測定できる原子核乾板を活用し,他の測定器では測定できないニュートリノと水の反応から放出される0.5GeV/c以下の低エネルギーの陽子の測定に世界で初めて成功し,NINJA実験の陽子測定能力を実証した。

また,大型実験装置を用いたニュートリノビーム照射実験を実施し,その実験装置群を用いてニュートリノ反応の精密測定に成功,ECC-ES-ST-BM(原子核乾板検出器‐エマルション・シフター‐シンチレーション・トラッカー‐磁化された鉄とシンチレーターで構成される測定器)の一連の複合解析方法を確立した。

今後ここで確立した解析方法を用いて全領域の解析を進めることで,不明な点が多いニュートリノ‐原子核反応モデルが精緻化されるという。その結果,高精度なニュートリノ振動測定が実現し,宇宙から反物質が消えた謎の解明・素粒子の標準理論にない新しいニュートリノの探索に繋がるとしている。

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