九大,高効率ポリマー光変調器を開発

九州大学は,電気光学ポリマーを用いた超高速光変調器を開発し,世界最高速となる200Gb/sの光データ伝送に成功した(ニュースリリース)。

近年,先端的な光通信デバイスの研究開発の中で,ポリマーを応用した光デバイス技術への期待が高まっている。光変調器の開発では電気光学ポリマーの高い電気光学変換効率と周波数応答性に着眼したデバイス研究も進み,優れた研究成果が世界のいくつかの研究グループから報告されている。

研究グループもこれまで解決が困難とされてきたデバイス信頼性に関して,耐久性や信頼性に優れた材料開発や光変調器の高性能化の研究を進めてきた。

今回開発したポリマー光変調器は,高い熱安定性を持っており,110℃の高温環境下でも高速光信号を安定に発生することができる。高周波応答性に関しては,70GHzに近い帯域特性を持つが,電気光学ポリマーは理論的に100GHz以上の応答特性を持つことが予測されており,今後さらなる帯域拡大が期待できるという。

光データ伝送実験では,最高で200Gb/sの信号発生に成功し,ビットエラー解析からも信号エラーがないことを確認した。さらにデバイス動作電圧は1.3Vと低く,1ビット当たりの消費電力に換算すると42fJの極微小の消費電力特性であることも分かった。

これまでにも無機・半導体(ニオブ酸リチウム,シリコン,インジウムリンなど)を応用した光変調デバイスの高性能化が進んでいるが,より優れた高周波応答特性,高速信号特性,消費電力特性,および熱安定性を兼ね備えたポリマー変調器を実現したとする。

200Gb/s超の光データ伝送が可能なポリマー変調器は,データセンターなどの大容量情報処理・通信技術への応用が期待できる。また,今後の展開として以下が考えられるという。

・現在の光データ伝送技術で100Gb/sを超える光信号の発生は,複数の光変調チップを並列で用いた(25Gb/s×4台など)伝送方式が用いられている。今回の成果は1チップで200Gb/sの信号を発生できることから,並列化によって800Gb/sさらには1.6Tb/sのリンクスピードへ拡張することも可能。

ポリマーとシリコン光集積技術との融合は,光変調器の小型化・集積化が可能であることからデータセンターの高密度化にも対応でき,新しい光技術・産業の創出も期待されるとしている。

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