筑波大,新たなダイヤモンド結晶構造を予言

筑波大学の研究グループは,五つの炭素原子が環状に結合した五員環を組み合わせることで,新しい3次元炭素結晶の可能性を理論的に予言した(ニュースリリース)。

黒鉛やダイヤモンド等の炭素結晶は,炭素の取り得る結合形態の多様性から極めて多くの構造が存在し,その形状に強く依存した物性を有することが知られている。また,多くの結晶は,炭素原子間の共有結合が極めて強いことから,軽量で高硬度な材料として注目を集めている。

これまで,異なった結晶構造の炭素が実験的に数多く合成され,かつ理論的に予言されてきた。それらの多くは,ある特定の変形に対して,ダイヤモンドを凌駕する高い弾性率を有することが知られているが,トータルで高い弾性率を示す炭素結晶の存在はほとんど知られておらず,その合成ならびに予言が期待されていた。

研究グループは,炭素原子からなる五角形の辺を全て共有させることにより,極めて対称性の高い3次元の炭素共有結合ネットワークが構築可能であることを幾何学的な考察から予言し,ペンタダイヤモンドと命名した。ペンタダイヤモンドは,ダイヤモンドの6割程度の質量密度(2.26g/cm3)しか持たない極めて軽い3次元炭素結晶で,4配位と3配位の炭素原子で構成される。

さらに,このペンタダイヤモンドに対して量子力学に基づく物性シミュレーションを行ない,ペンタダイヤモンドが安定した炭素結晶の候補であることを明らかにした。さらに,弾性率の解析から,ペンタダイヤモンドはダイヤモンドの8割の体積弾性率,1.3倍のヤング率,1.8倍の剪断弾性率を有し,伸長やねじれなどの異方的な構造変形に対してダイヤモンドを遥かに凌駕する強靭性を有することを明らかにした。

また,ペンタダイヤモンドは負のポアソン比を有し,伸長/圧縮に対して,その鉛直方向における断面の増加/減少という奇妙な力学応答性を示しことを明らかにした。更に,この負のポアソン比から,既存の物質の中でも最速クラスとなる物質中の音速を有することも明らかにした。

こうした成果は,炭素物質科学の更なる展開を促すものだという。また,ペンタダイヤモンドの軽くて高い強靭性は,新しい高硬度材料への応用を示唆しており,ペンタダイヤモンドを用いた耐衝撃材料の開発が期待される。更に,負のポアソン比から,圧電材料など構造変形を用いた新たな機能性材料への応用も期待されるとしている。

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