東北大ら,高品位GaN単結晶基板の量産法開発

東北大学,日本製鋼所,三菱ケミカルの研究グループは,反りがほとんど無い,大口径且つ高純度な窒化ガリウム(GaN)単結晶基板の量産を行なえる低圧酸性アモノサーマル法の開発に成功した(ニュースリリース)。

電力の変換効率を向上させる解決方法として,電力制御を担うパワートランジスタの半導体材料を,従来の珪素から炭化珪素,GaN,ダイヤモンド等に置き換えることが注目されている。

なかでも,GaNは広い禁制帯幅(3.4eV),高い絶縁破壊電界(3.3MVcm-1),速い飽和電子速度(2.5×107cm s-1)などの優れた物性を有するため,高出力かつ高周波で動作する縦型パワートランジスタへの応用が期待されている。

しかし,現状ではGaNトランジスタの土台となるGaN単結晶基板が入手困難であるため,リーク電流が少なく信頼性が高いGaN縦型パワートランジスタを作製することは難しい。

研究では,直径2インチ以上のGaN単結晶基板を量産可能な,低圧酸性アモノサーマル(LPAAT)法を独自に開発した。既に実用化されている,高圧の超臨界流体アンモニアを用いる従来の酸性アモノサーマル(SCAAT)法とは異なり,低圧での結晶成長を実現したことにより,比較的小さな結晶成長炉で大型結晶の量産が可能となる。

SCAATによるGaN種結晶上にLPAAT法により作製された2インチ長のGaN単結晶基板は,結晶モザイク性が低く(対称面・非対称面のX線ロッキングカーブ半値全幅が28秒以内),基板の反りがほとんどない(曲率半径が約1.5km)良好な結晶構造特性を有した。

さらに,結晶成長炉の材質である鉄やニッケルなどのコンタミネーションを抑えるため,結晶成長炉の内壁を銀でコーティングした結果,GaN結晶中に意図せず混入する不純物を減らすことができ,低温フォトルミネッセンスからはGaNの励起子遷移の発光が確認される程度に優れた結晶性および高い純度を達成した。

LPAAT法による大口径・低反り・高純度なGaN単結晶基板が普及していけば,信頼性に優れるGaN縦型パワートランジスタが実用化されていくと期待されるという。

この研究で開発したLPAAT技術を大型炉(内径120mm以上)に適用し,反りが少なく結晶モザイク性も殆ど無いような優れた結晶構造的特性をもつ4インチ以上の大口径GaN基板の実現を目指す。

さらに,作製されたGaNの輻射・非輻射再結合レートや空孔型欠陥濃度等を特殊計測技術を用いて定量することにより,LPAAT法によるGaN単結晶の光学的・電気的な特性をさらに向上させるとしている。

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