2019年画像認識関連技術市場,290億円に

富士キメラ総研は,人間の視覚や聴覚に当たる部分を担い,作業支援などで活用されている画像認識関連技術や音声・感情・音認識関連技術の市場を調査し,その結果を「2020 画像・音声 AI/次世代インターフェース市場の現状と将来展望」にまとめた(ニュースリリース)。

この調査では,画像認識関連技術や音声・感情・音認識関連技術といったコグニティブ関連技術9品目(国内市場対象)のほか,視覚・聴覚情報2品目(国内市場対象),自動車向けソリューション3品目(世界市場対象),スマート社会関連ソリューション6品目(国内市場対象),業務関連ソリューション12品目(国内市場対象),アプリケーション9品目(世界市場対象),キーデバイス10品目(世界市場対象)の市場を調査・分析し,将来を展望した。

・画像認識関連技術(国内市場)
顔・表情認識,静脈認識,視線認識,虹彩認識,OCR(Optical Character Recognition:イメージスキャナーやカメラなどで読み取った手書きや印刷された文字をコンピューターが処理できるデジタルの文字コードに変換する技術),3D認識を対象とする。

2019年の画像認識関連技術市場は,290億円を見込んでいる。顔・表情認識や静脈認識,OCRなどが好調となる。顔・表情認識は,決済や入退出管理用途を中心に普及が進んでいる。スマートフォンへの顔認証の搭載などを契機に受容性も高まっており,自動車などにも用途が広がっている。

また,静脈認識はATMなどの現金取引をはじめとする金融サービスを中心に普及が進んでいる。OCRは,AIを活用したOCRが識字率の高さ,手書き文字および多言語の読み取りが可能,高性能なスキャナーが不要などのことから,中小規模のユーザーに導入が進んでおり好調となる。

・自動車向けソリューション
(1)インキャビン画像ソリューション
自動車内における乗員モニタリングシステムのうち,カメラを活用したドライバーモニタリングソリューション(ソフトウェア)を対象とした。

ドライバーモニタリングはADASの進展によりニーズが高まっており,拡大している。現状はルールベースAIを活用した製品の搭載が一般的となる。ディープラーニングAIを活用した製品は,2020年から量産車に搭載されるとみている。ディープラーニングAIを活用することにより,視線や表情による感情認識,瞳孔の動きなどが検知できるため,今後同タイプの採用が増加するとみており,さらなる市場拡大を予想している。

(2)インキャビン音声ソリューション
カーナビゲーション周辺を含む自動車コックピットに搭載され,地図検索やメール作成,車内エンターテインメントなどの各種操作や,音声AIアシスタントなどを活用した情報検索などに用いられる音声インターフェース(クラウド/エンベデッド/ハイブリッド)を対象とする。

走行中にカーナビゲーションなどのディスプレー画面を注視することへの対策として,また,ステアリングから手を離すことなく操作が可能な音声インターフェースが普及してきた。すでに商用車の年間生産台数の過半で搭載されており,安全性や利便性の観点から今後も市場は拡大していくとみている。

・スマート社会関連ソリューション
決済ソリューション(顔認証サービス)(国内市場)
キャッシュレス決済やATMなどの現金取引で使用されている顔認証サービスを対象とする。IDやパスワードによる認証のみでは情報流出した際になりすましが可能であることから,防止策として生体認証の注目度が高まっている。

2019年は顔認証を使用した決済システムの実証実験は行なわれているものの,顔認証に対する抵抗感がまだ高いとみられるため大規模な導入には至っていない。今後は社内食堂などのクローズドな環境での採用増加やスマートフォンへの搭載などから顔認証の受容性が高まっていくことで,市場も拡大していくとみている。

・キーデバイス
高画素TOFセンサー(世界市場)
複数の受光部があるエリア型TOFセンサーのうち,受光部が数万以上ある高画素タイプを対象とした。

市場はスマートフォンに採用されたことで,急速に拡大している。現状はスマートフォンのカメラの性能向上(高精度測距,背景ぼかしなど)が主要用途であるが,2020年以降ARや顔認証用でも採用を予想している。また,自動車のジェスチャーコントロールやスマートグラスなどでも採用が進むとみており,市場の拡大を予想している。

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