ソニーら,HDRイベントベースセンサーを開発

ソニーと仏プロフェシーは,業界最小となる画素サイズで,業界最高となるHDR特性を実現する,積層型イベントベースビジョンセンサーを共同で開発した(ニュースリリース)。

積層型イベントベースビジョンセンサーは,各画素の輝度変化を非同期で検出し,変化したデータのみを座標および時間の情報と組み合わせて出力するため,高効率で高速,低遅延なデータ出力が可能。

開発品は,ソニーが保有するCu-Cu(カッパー・カッパー)接続を用いた積層型CMOSイメージセンサーの小型,低照度での高感度などの技術と,プロフェシーが保有するMetavision®(メタビジョン)の高時間分解能,高出力のデータ読み出しなどのイベントベース方式のビジョンセンシング技術を組み合わせることにより,低消費電力で小型ながら高解像度で高速,高時間分解能を実現したビジョンセンサー。

画素チップ(上部)と,非同期デルタ変調方式を用いた輝度変化を検出する信号処理回路を組み込んだロジックチップ(下部)を分割して配置。両チップを画素ごとに,Cu(銅)のパッド同士を接続するCu-Cu接続を用いて導通し,積層。

業界最小の画素サイズ4.86μmに加えて,ロジックチップには微細な40nmプロセスを採用し高集積化を図ることで,1/2型で1,280×720のHD解像度を実現した。

裏面照射型画素と一部のN型MOSトランジスタのみを画素チップに搭載し,開口率を77%に高めたことで,業界最高となる124dB以上のHDR特性を実現。長年のCMOSイメージセンサー開発で培った高感度,低ノイズ技術により,低照度(40mlx)でのイベント検出が可能だという。

フレームベース方式ではフレームレートに応じて一定の間隔で全体の画像を出力するのに対し,イベントベース方式では行方向調停回路(輝度変化が起こった複数の画素からの要求に対して,Y軸方向の優先順位を決定する回路)を用いて非同期で画素データを選択。時間情報を1μ秒単位の精度で輝度変化が起こった画素アドレスに付加することで,高時間分解能でのイベントデータ読み出しを確保する。

さらに,イベントごとに輝度変化の両極性,時間,座標のデータ(x/y)を効率的に圧縮することで,1.066Geps(events per second)の高出力イベントレートを達成した。

この開発品は,幅広い環境,状況下での素早い動体の検出など,さまざまなマシンビジョン用途に適しているとしている。

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