電通大,光コムで高解像度3Dイメージングに成功

電気通信大学の研究グループは,チャープした光周波数コムのスペクトル干渉を用いた瞬時3次元計測手法と,簡便かつ高精度なスペクトル干渉縞解析手法を開発し,奥行き不確かさ0.35µmの3次元形状計測を実現した(ニュースリリース)。

光コムによる瞬時3次元計測を実現するため,研究グループはファイバレーザーで発生させた光コムから繰り返し出射される超短パルス列を2つに分け,チャープしたパルス光を被測定物に照射し,その反射による戻り光を,もう一方のチャープのないパルス光と干渉させ,これを分光して干渉パターンを撮影して解析することで距離情報を抽出する方法を開発したが,ノイズに弱く,計算コストが高く高速処理も難しいという課題があった。

これを解決するため,研究では計測したスペクトル干渉縞に現れる左右対称なパターンに注目。相関を求めることでこのパターンの中心位置(中心波長)を決定する手法を開発した。計算は非常に単純で,自分自身の波形の畳み込みを計算するだけであり,高速フーリエ変換等の複雑な計算が不要となる。

また,スペクトル干渉縞の中心位置に鋭いピークが1つだけ立つので,中心波長を容易に特定できる。この計算は全体のパターンを見ることになるため,多少のノイズが混入しても安定してピークが立ち,中心波長を特定できるという。

実際の計測の前に中心波長と奥行距離の関係を表す校正曲線を得るため,光路長変化を与えて干渉縞変化を解析したところ,不確かさが0.35µmとなり,sub-µmの計測精度があることを示した。実際にこの解析手法と校正曲線を用いて,10円玉の表面形状をラインスキャンによって計測したところ,奥行約45µmの構造が計測できた。

この手法の特長の1つは,奥行き精度と平面方向の分解能が原理的に独立しているため,定量的な設計や精度評価が可能な点にある。奥行き精度はスペクトル干渉縞が示す光の位相レベルとなり,原理的にはnmレベルまで到達できる。この手法によってスペクトル干渉縞の解析精度が先行研究より2桁向上したという。

一方平面方向の分解能はレンズ系の像の分解能で決まる。これは従来の光学特性に基づいた設計が適用できることを意味し,理論的には回折限界で決まる。研究の光源は波長1.5µmなので,分解能は0.7µm程度まで高めることができ,既存のレンズ系で撮影可能な像であれば瞬時3次元計測へ展開できる。

研究グループは,この技術がメートル規模の対象物や長辺と短辺の比が大きい形状物の精密計測,レーザーによる加工や物質改変における単発現象のイメージング,衝撃波発生のような瞬間イメージングなど,汎用性の高い手法となることが期待されるとしている。

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