名大ら,水滴から5V以上の発電技術を開発

名古屋大学,九州大学の研究グループは,一滴の水滴から5V以上の発電をする技術を開発した(ニュースリリース)。

二硫化モリブデンは層状物質であり,極限的に薄くすると1原子レベルまで薄くすることができる。発電装置の実現には,プラスチックフィルム上に,大面積かつ1層の二硫化モリブデンを成膜する技術が必要だった。

従来,原料となる酸化モリブデンと硫黄を成長装置の上流側に設置し,高温に加熱した基板に供給する方法がとられていたが,大面積の基板に均一に硫化モリブデンを成長させることは困難だった。

この研究では,酸化モリブデンを基板に対向して設置するとともに,均一に供給する工夫を行なうことにより,大面積で1層の二硫化モリブデンを成膜することに成功した。また,サファイア基板を用いることにより,高品質化も実現した。

さらに,サファイア基板上に成長した二硫化モリブデンをプラスチックフィルム上に転写する技術も開発した。転写工程において,極めて薄い二硫化モリブデンを支持するため,従来,PMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)フィルムが用いられていたが,大面積で転写するのは困難だった。

この研究では,ポリスチレンフィルムを支持材料として用いることにより,表面エネルギーの違いを利用して,簡便に大面積の二硫化モリブデンを転写することに成功した。二硫化モリブデンは極めて薄い半導体材料であり,開発した成膜技術は発電装置のみならず,集積回路やフレキシブルエレクトロニクスなどへの半導体応用も期待できるという。

また研究グループは,プラスチックフィルム上に成膜した二硫化モリブデンを用いることにより,一滴の水滴から5V以上の高い電圧を発生させることに成功した。発電装置は,二硫化モリブデンの両端に電極を形成した単純な構造となる。発電装置を45°に傾け,水滴を表面に落とし,二硫化モリブデンの表面を滑らすと,電圧が発生する。1滴の水滴を落とすごとに,パルス状の5Vから8Vの電圧が発生した。

従来,炭素の原子層材料であるグラフェンを用いることで同様の発電現象が知られていたが,発電電圧は数十mVから数百mVにとどまっており,センサーなどの電子デバイスを動作させるには電圧が不十分だった。

この研究では,半導体の原子層材料である二硫化モリブデンを用い,発電装置内で還流する電流を抑制することにより,センサー駆動に十分な高電圧化を実現した。さらに,3つの発電装置を直列接続し,3滴の水滴を同時に滴下することにより,15Vの発電にも成功した。

この技術は,工場排水のモニタリングのための自己給電型水質センサーなどのIoTデバイスへの応用が期待されるとしている。

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