理科大,強塩基を発する非イオン型光塩基発生剤を開発

東京理科大学の研究グループは,アウトガスの発生を伴わず,高効率で強塩基を発生する非イオン型の光塩基発生剤を世界で初めて開発した(ニュースリリース)。

UV硬化材料は,その硬化メカニズムから分類するとラジカルUV硬化,カチオンUV硬化,アニオンUV硬化の3種類に分類される。現在もっとも実用に供されているのはラジカルUV硬化系で,一部カチオンUV硬化系が実用化されている。ラジカルUV硬化系は空気中の酸素阻害により硬化不良を起こしやすく,基板との密着性も悪い。

また,カチオンUV硬化系は空気中の酸素阻害は受けず,基板との密着性も比較的よいが,強酸を触媒として用いるために金属を腐食させる問題があった。

一方,アニオンUV硬化系はラジカル系およびカチオン系の欠点をすべて改善する能力があるが,強塩基を発生するイオン型の光塩基発生剤を用いるとエポキシ樹脂などの塩基反応性樹脂と混合した組成物のポットライフが短いことが課題となっていた。

これまでに研究グループは,高効率で強塩基を発生するイオン型の光塩基発生剤は開発していた。しかし非イオン型でアウトガスの発生を伴わず強塩基を発生する光塩基発生剤の報告例はなかった。

この新規な光塩基発生剤を用いると,エポキシ樹脂やアルコキシシラン等を用いたアニオンUV硬化が高効率で進行することを示した。さらに,この光塩基発生剤を含む塩基反応性樹脂組成物のポットライフは,イオン型の光塩基発生剤を用いた系に比べて大幅に向上することがわかった。

研究グループは,これらの光塩基発生剤は接着剤,封止材,インク,塗料,各種コーティング,光パターニングなど幅広い分野に利用されることが期待できるとし,販売に向けて準備を進めている。

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