島津,軽元素対応エネルギー分散型蛍光X線分析装置を発売


島津製作所は,ヘリウム置換への対応によって液体試料中の軽元素も高感度に分析可能になるなど,汎用性をさらに高めたエネルギー分散型蛍光X線分析装置「EDX-8100」を8月30日に発売する(ニュースリリース)。価格は1,050万円(ソフトウェア込み,税別,ヘリウム置換ユニットは別売り)。

エネルギー分散型蛍光X線装置は,X線の照射によって試料の表面から発生する蛍光X線を検出することで,試料を構成する元素の種類や濃度を分析できる装置。固体や粉体などをはじめとする幅広い形態の試料を非破壊かつ簡便に分析できる。

同社の従来製品は国内外で合計1,000台以上の販売実績がある。これらの装置で測定雰囲気の影響を受けやすい軽元素まで検出するには試料室を真空にして測定することが必要なのに対し,ガスが発生する試料や液体試料については試料室内をヘリウムガスで置換する手法が有効となる。

新製品は,従来製品の検出器を改良してヘリウム置換に対応させ,液体試料中の軽元素も高感度に分析可能。エネルギー分散型蛍光X線分析装置は,複雑な前処理無しで迅速に分析を開始できる点などを特長としている。

オプションのヘリウム置換ユニットを組み合わせた場合,液体試料中のNa:ナトリウム~Al:アルミニウムについては,同社従来製品比最大3倍の感度で分析可能。さらに,同社のエネルギー分散型蛍光X線分析装置としては初めて液体試料中のフッ素が分析可能になった。

固体や粉体においては,真空測定ユニットを追加することで,C:炭素~U:ウランまでの元素を検出可能。また,「微小部分析キット」との組み合わせにより,直径1mm以下の微小試料の正確な分析にも対応する。広い検出可能範囲や各種測定雰囲気への対応,試料形態とサイズを選ばない優れた汎用性が特長となっている。

分析可能試料の広がりによって公的試験研究機関や大学,受託分析会社で導入しやすくなったほか,化学や素材などの分野においてはシリコンコーティング剤やフッ素系洗浄剤の品質管理などへの貢献が期待できるとしている。

その他関連ニュース

  • 理研ら,蛍光X線スペクトルの2次元化に成功 2023年07月27日
  • 公大,X線ビームの大きさを数学的に評価 2023年01月23日
  • 公大ら,ベイズ推定で蛍光X線分析の測定時間を短縮 2022年12月23日
  • 東北大ら,新たなコンクリート塩分濃度測定技術を開発 2022年12月22日
  • 日立ハイテク,蛍光X線膜厚計を発売 2022年09月12日
  • 千葉工大,蛍光X線でツタンカーメン短剣製法特定 2022年02月15日
  • 島津,蛍光X線分析装置の新製品を発売 2021年10月11日
  • 島津,蛍光X線分析装置を国内発売 2021年06月01日