ソニー,1000fpsのビジョンセンサーを発売

ソニーは,毎秒1,000フレームの高速センシングで対象物の検出と追跡を実現する高速ビジョンセンサー「IMX382」を商品化し,2017年10月よりサンプル出荷を開始する(ニュースリリース)。

従来,毎秒30フレームで処理するイメージセンサーを採用したシステムでは高速に移動する対象物や現象を捉えきれない場合があったが,このビジョンセンサーは,従来比約33倍の撮像スピード(毎秒1,000フレーム)によりそれらを捉えることを可能にした。

さらには画像情報から対象物を検出し,その重心位置や面積,動きの方向などの情報処理を高速に行なう。処理結果は,1フレーム単位でセンサーから出力ができるため,従来よりもシステムへの高速なフィードバックを実現する。

工場などの生産ラインでは,異常や故障の検出の遅れが致命的な結果につながる場合があるが,このビジョンセンサーを採用することで,それらの事象を瞬時に捉えることができ,迅速にシステムへの停止指示をかけることなども可能となる。

また,従来の産業用ロボットは,プログラムによって指定された座標へ移動するのが一般的な動作だった。一方,このビジョンセンサーの高速性と追跡機能を活用することにより,ロボットへのリアルタイムなフィードバックが可能となり,対象物の動きや状態に応じて,ロボットが自律的な動作や対応がとれるようになる。これにより,ロボットへのティーチング作業の効率化や,生産性の向上に貢献する。

さらに,従来のシステムでは対象物の検出や追跡をおこなうためには,イメージセンサーの後段システム(パソコンや演算用デバイスなど)で画像処理を行なう必要があったが,このビジョンセンサーは,撮像から対象物の検出および追跡の画像処理を1チップで実現した。

これにより,後段システムの小型化や,システム全体の省電力化が可能となるとともに,物理的な制約などにとらわれない新たなシステムの構築に向けた可能性が広がる。

同社では,このビジョンセンサーのサンプル出荷開始にあわせ,評価キットも提供を開始する。評価キットはカメラとそれを制御するソフトウェアから構成されており,顧客の使用環境下に合わせて簡単に評価ができる。

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