2019年耐熱フレキシブル基板市場,OLEDで51億円に

富士キメラ総研は,カーエレクトロニクスやIoT関連,ウェアラブル機器などへの応用展開により,市場拡大が予想されるエレクトロニクス製品向けの先端部材の世界市場を調査し,その結果を報告書「2016年 エレクトロニクス先端材料市場の現状と将来展望」にまとめた(ニュースリリース)。

この報告書では,半導体,実装,LCD,OLED,タッチパネル,LED,エネルギー,ウェアラブル機器などの分野で注目される先端部材について,市場の現状を分析し,今後を予想している。加えて,素材の動向,製造プロセスにおける新規適用や薄膜化・小型化などの技術動向,電気的・熱的・光学的機能トレンドについても整理している。

耐熱フレキシブル基板市場は,2015年時点では,ガラス基板は一部OLED照明用途で実用化されているものの,開発用のサンプル出荷がほとんどだという。フィルム基板の素材は大半がPI(ポリイミド)フィルム,一部でPEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムが使用されている。

現状,PIフィルム基板はスマートフォン向けのOLEDディスプレイ用途が大半。PENフィルム基板は有機薄膜太陽電池や電子ペーパーで使用されているが実績は僅少に留まるという。

主用途として期待されるOLEDディスプレイは,軽量化や湾曲化ニーズにより徐々に市場が立ち上がりつつある。2018年以降スマートフォンでOLEDディスプレイの採用が増加し,それに伴いPIフィルム基板の需要も増加するとみる。また,PENフィルム基板は,有機薄膜太陽電池などの市場拡大に伴う需要増加を予想する。

グラフェンは炭素からなる同素体の一種で,非常に薄い層で構成され強靭で導電性に優れる。コンパウンド樹脂に少量を添加するだけで強度改善に大きな効果があり,放熱性や帯電防止性なども付与できる。

2014年までは主に研究・開発用途の少量販売が中心で単価も高価格であった。2015年以降,大量生産技術の確立に伴い工業的な使用が本格化しており,今後の市場拡大が期待され,将来的にはプリンテッドエレクトロニクスの電極材料としての使用も期待されるとしている。