パナソニック,赤外線センサー温冷感推定ソリューションを開発

パナソニックは,赤外線アレイセンサー「Grid-EYE(グリッドアイ)」を用いた温冷感推定アルゴリズムを開発した(ニュースリリース)。人の温熱快適性を見分ける高精度な温冷感センシングソリューションとして提供を開始する。

従来の空調制御は,赤外線センサーによる対象物(人)の位置検知や部屋の温度分布から,対象物(人)の温度を推定し制御を行なっている。人の表面温度を検知しているが実際の人の感覚や温度の感じ方まで見分けることができないため,人によっては暑いと感じたり寒いと感じたり,快適性を損なうケースがあった。

同社では,奈良女子大学との共同研究により,「Grid-EYE」を用いた放熱量算出による温冷感推定アルゴリズムを開発した。このアルゴリズムは,人の表面温度と周囲温度との温度差から人の放熱量を算出することで,人の暑い寒いなどの感覚を見分けることが可能。これにより,従来の位置検知,温度分布からの温度推定に加え,人の感覚を見分けることができるため,一人ひとりの体感温度にあわせた空調制御を実現でき,省エネと快適性の両立に貢献する。

人の表面温度と周囲温度の温度差を高精度に算出するためには,対象物(人)の鮮明な熱画像が必要。8×8の64画素の「Grid-EYE」を最適な角度とスピードでスイングさせることで,約7800画素相当の鮮明な熱画像が得られる。これにより人の位置情報を詳細に検知するとともに,人の頭や腕,手足など細かな温度分布まで認識することが可能。また,熱源を詳細に認識できるため,設備の温度監視などへの展開が期待できる。

これまでのセンサー単体の提供ではなく,Grid-EYE(グリッドアイ)のセンサー性能を最大限発揮させる独自のソフトウェアと組み合わせワンストップでソリューションを提供していく。顧客に適したソリューションを提供することで,設計開発の時間短縮,工数削減のみならず,これまでにない機能の実現に貢献していくとしている。

このソリューションは,家庭,オフィス,車などの空調制御に用いることで省エネと快適性の両立に貢献する。また,今後アルゴリズムを進化させ,ベッド上の人の安静状態を検知する介護・見守り分野や,設備異常にともなう発熱を検知する設備異常診断分野など,安全・安心が要求される用途へも展開していく。