オハラ,超低熱膨張ガラスを増産へ

オハラは,極低膨張ガラスセラミックス「クリアセラム™-Z」への需要増を背景に,大型ガラス熔解炉の設備増強を行ない2基体制とし,ガラスの安定供給と更なる需要増に対応する(ニュースリリース)。

この製品はガラス相と結晶相の2相構造からなるガラスセラミックスで,熱膨張係数を限りなくゼロ(管理幅±0.1×10-7)に近づけることを実現している。

一般的に物質はすべて熱膨張する。ゼロ膨張特性発現の原理は,熱膨張するガラスの中に熱をかけると逆に縮む性質を持つ特異なナノレベルの結晶を析出させ、ガラスの熱膨張を相殺させるというもの。

析出する結晶は数十ナノレベルのため,透過用途での利用も可能なほか,硬質なセラミックの特性を備えつつ,ガラスと同じ切削・研磨性,マシナブルセラミックスレベルの微細加工特性を実現している。

このガラスは宇宙の起源に迫る世界最大の国際望遠鏡プロジェクト,TMT(Thirty Meter Telescope)計画の鏡材(直径30mの鏡として使用)として採用されている。

そのほかにも,4K,8Kテレビやスマートフォンの画面に採用されている有機ELディスプレイ(OLED)を製造する露光装置や,半導体露光装置の構造部材にも,キーマテリアルの一つとして採用されている。