パナソニック,伸縮自在な配線用樹脂フィルムを開発

パナソニックは,独自のストレッチャブル樹脂技術を採用し,柔らかく,しなやかで,伸縮自在な,「ストレッチャブル樹脂フィルム」を開発した(ニュースリリース)。絶縁材料であるこのフィルムとあわせて,透明電極材料,配線用導電ペーストも提供していく。

開発したのはフィルム状で,現在のフレキシブル材料では難しい伸張と元の形状に復元が可能な絶縁材料。自在な折り曲げや,さまざまな自由曲面へ適応でき,従来設計の制約を大きく改善する。

例えば,衣服や体に付けるなど,あらゆる形に追従できる柔らかく,しなやかなエレクトロニクスデバイスが実現でき,ウエアラブル,センサ,ディスプレイ,ロボットなど幅広い分野での展開が見込まれるとしている。

引張り伸びは2.5倍以上で,伸張時に発生した内部応力を緩和できるうえ,元の形状に戻り,繰り返し使用ができる(応力緩和率:60%,復元率:98%以上)。絶縁材料に加え,伸縮自在な透明電極材料と配線用導電ペーストも開発した。

今回,以下の技術を用いて開発に成功した。
・熱硬化性樹脂でありながら伸縮する絶縁材料を実現する独自の樹脂設計技術
・伸縮自在な透明電極を実現するストレッチャブルなベース基材設計技術
・伸縮自在な配線用導電ペーストを実現するストレッチャブル樹脂/導電フィラー複合化技術

これまでのフレキシブル材料では折り曲げができるものの,折り畳みや伸縮が難しいという課題があった。またウレタン樹脂やゴム系のストレッチャブル材料では密着性,耐熱性,脆化などの課題がある。市場からは衣服や体に装着するデバイスの実現には,伸縮自在な実装基板、配線などが必要で繰返しの伸縮性が要求されていた。

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