システムイオ,カメラで券種を識別する紙幣ケースを発売

NEDOのプロジェクトにおいてシステムイオは,視覚障害者向けお財布型ポータブル紙幣識別機「Wallet(ウォレット)」を開発,12月1日から製品販売を開始した(ニュースリリース)。

NEDOは1993年の「福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律」制定以来,高齢者や障害者の生活の質の向上や介護者の負担軽減を図る技術開発に対して,研究開発の助成を行なってきた。なかでも,高齢者や障害者の積極的な社会参加(ノーマライゼーション)を支援し,豊かさを実感できる社会の実現を重点項目のひとつにあげている。

現在流通している日本銀行券にはインキの盛りによるざらつきのあるマーク「識別マーク」が表券面の右下に印刷加工されているが,流通した紙幣ほど識別が難しくなる。これは視覚障害者にとって重要な問題であり,2013年に財務省,日本銀行,国立印刷局が「日本銀行券の券種の識別性を向上させるための取組み」について発表されるなど,券種識別の向上に向けて様々な取り組みが行なわれている。

今回,システムイオ(旧テックアイオーサービス)が課題解決型福祉用具実用化開発支援事業(助成期間:2014年~2015年)によって実用化した日本銀行券券種識別装置は,光学的に券面を読み取り,音声案内やビープ音,振動で通知することによって,新札・流通紙幣を問わず識別を行なう。

加えて,Suicaなどの交通系ICカードなどの残額も音声で通知する機能も有しているため,視覚障害者の方も簡単に残額を確認できるようになった。

紙幣を焦点距離のない近接カメラと読み取りスイッチで挟み込むことにより,紙幣を収納した状態,かつ収納した方向に関係なく金額を読むことができる。加えて,交通系・流通系ICカードの残額読み取り機能も有しているので,外出時の財布として利用することが可能だとしている。